2005年9月13日作成
情勢
@第44回衆議院総選挙で、郵政民営化を進める小泉氏の自民党が大勝しました。
A筆者は郵政公社のままの公社改革を望んでおりましたが、選挙結果を受け止めるにあたり、郵政民営化の問題点を補うべく、諸提案をする事にしました。
| 目次 |
| 過疎地の郵便サービス |
| 郵政認証司制度の改善 |
| 外資規制と政府保証 |
| 民営化による赤字化対策 |
修正案に対する意見(掲示板)はこちら。
郵便局株式会社法案(郵便局の設置義務)によると、
「第五条 会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」
となっています。
「総務省令」の定める全国とは、「各市町村単位」であると読めるので、現在の市町村部に複数あれば一つにまで削減出来ることになります。
問題は、市町村合併による広域都市の僻地に郵便局サービスが維持されるのか、です。
2006年度見込み市町村数は1822となります。これは2000年度と比べても1000以上の市町村数減となっています。2005年と比べても500以上も減る見込みです。
| 市町村数 | |
| 1980年 | 3255 |
| 2000年 | 3229 |
| 2005年 | 2521 |
| 2006年見込み (総務省発表) |
1822 |
愛知県の富山村では今年合併することが決まっている豊根村まで車で山間部を抜けて40分程度(私の通行した実感)かかり、合併後に郵便局を統合されれば、郵便局を利用することが困難になるでしょう(旧富山村内にも郵便局は現在一つあります)。
また、岐阜県高山市は大阪府や香川県よりも面積が広く、静岡県浜松市も香川県の5分の4程度の大きさです。平成18年度(見込み)の全国市町村平均面積203.53平方キロと比べても7倍以上と広大な面積です。そこに郵便局が一つ或いは二つ三つでは困るのです。
| 平成17年 | |
| 県名・市名 | 面積(平方km) |
| 高山市 | 2,179.35 |
| 大阪府 | 1,893.75 |
| 香川県 | 1,876.16 |
| 浜松市 | 1,511.17 |
| 平成18年度 市町村平均 |
203.53 |
政府は「過疎地域の切捨てはしない」と繰り返し、答えていましたが是非言葉通りの法案に直していただきたい。
| 設置義務(郵便局網の維持) | |
| 現政府法案 | その時々の各市町村に一つ以上 |
| 改正提案・2例 | @2000年当時(3229)の各市町村に一つ以上 A郵便局数を明示する(現状24700局を鑑み24000局以上など) |
| ドイツの例 | 郵便法により、郵便局数12000局以上義務付け |
また、郵便貯蓄の問題で金融機関の無い地域が発生する恐れもありますが、上記の郵便局設置義務の強化で、これも回避されます。
☆郵便局会社は郵貯銀行などと代理店契約を結ぶことが義務付けされています。
*注
金融機関のない自治体数は2002年(平成13)三月末時点で540町村。農協、漁協含めては12村。
(第154回通常国会、総務委員での政府参考人発言より)
特定郵便局制度による世襲制や自民党との利権問題も民営化世論の推進力となった感があるが、実は特定郵便局長や簡易郵便局長を対象とした「郵便認証司」というポストが新たに作られている。
この郵便認証司には試験は無く、総務大臣が任命するのです。任命対象は特定郵便局長ら・・・利権の温存できる逃げ道を既に用意されているという事です。
郵便認証司は有試験で、総務大臣の任命権を剥奪するべきです。
| 郵便認証司制度 | |||
| 試験有無 | 対象資格 | 任命 | |
| 現政府法案 | 無 | 郵便局長や管理者クラス | 総務大臣 |
| 改正提案 | 有 | 例・郵便事業の経験3年以上 | 会社独自に |
まず、郵政民営化法案では郵便局株式会社(窓口業務)と郵便事業株式会社の親会社となる「日本郵政株式会社」の株式を33%以上持つこと以外は、約束していない。逆に郵便貯金銀行、郵便保険会社は完全民営化となります。
| 公社解散後分割される会社名 | 株主 | |
| 日本郵政株式会社 | 政府が3分の1超保有 | |
| 郵便局株式会社 | 日本郵政株式会社が全株保有 | |
| 郵便事業株式会社 | 日本郵政株式会社が全株保有 | |
| 郵便貯金銀行 | 100%民間へ | |
| 郵便保険会社 | 100%民間へ |
NTTや放送局、航空会社には公益の観点から外資規制があります。それぞれのNTT法や放送法で外資比率の制限などが明記されているのです。よって、郵政関連法案でも外資規制することは可能です。
外資による悪影響とは何か?
短期利益追求による経営が一番の弊害でしょう。ただ、日本企業であれ利潤追求をする可能性があるので、外資だけ規制すれば良いと言うわけではないが・・・。
実は郵貯・簡保の既に契約されたものは「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」という新たな天下り先ともいえる行政法人によって運用管理されます。
独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案第二十条には、郵便貯金及び簡保に政府保証を与えるとあります。これで、国民の既契約に対する保障は約束されました。
問題は、郵貯契約は最長で10年であること。10年を過ぎれば、新契約をしなくてはならない。この時、郵便貯金銀行が窓口となるだろうし、郵便貯金しか選択肢がない(1996年における民間銀行の無い市町村数は554/郵政ビジョン2010)事もあるので、ココでの契約が主になる可能性は高い。
また、簡保の方も第二十九条で簡保資金を生命保険会社への預託することが出来るとあります。つまり預託先(郵便保険会社など)が株式や高リスク商品の投資に失敗して、政府保証による税金投入という問題も起こりうる。
どちらの問題にしても外資が貯金銀行・保険会社を買収した場合、営利の為の経営(各種手数料UPなど)がされたり、買収金額以上の郵貯新規契約(既契約者から見ると満期で再契約)や簡保預託金を手に入れて、その資金で外国債権・証券を購入し計画倒産させ実利を得ることも可能です。外資なだけに日本の捜査・司法が十分及ばない可能性もある。
勿論、可能性なだけで杞憂かもしれない。しかし、若しもの為に予防線は張っておくべきだと思う。
そして、もっと大事なことが2例あります。
@ニュージーランドでは郵貯を含めた民間銀行の多くが外資に買収され、国営銀行をわざわざ作り直す事となった。
Aドイツポストバンクは政府保有株式を50%超にしていた。そのおかげでドイツポストとポストバンクの再合併(ドイツポストにスムーズに売却)することが出来た。
ニュージーランドでは外資銀行の弊害として、支店数減少や手数料・口座管理料のUPが起こり、周辺部や多くの低所得層から金融サービスを奪ってしまった。その為、NZ政府はキーウィバンクという国営銀行を新たに創り、余分な労力と経費(約40億円)を支出することとなりました。
ポストバンクは郵便局からの離脱を示唆して、再統合されました。離脱をされたら、利便性を損なうからです。
郵便貯金銀行や郵便保険会社も郵便局側との手数料で揉めれば離脱を示唆する可能性があります。郵便局会社はどこかの銀行と契約する義務があるので、他銀行からも足元を見られかねない。
また、分社化による非効率経営(余分な手数料経費など)を見直すべき時が来るかもしれません。
そういった事態に対する保険的意味合いとして、日本でもニュージーランドの失敗やドイツの成功例を法案に反映させておくべきでしょう。
| 郵貯・保険会社の株式規制 | 外資規制 | 政府保有株式 | 会社定款(敵対的買収) |
| 現政府法案+予定会社定款 | 無し | 無し | 議決権無しの株式へ転換 |
| 改正提案(1) | 保有比率30%以下とする | 3分の1以上 | |
| 改正提案(2) | 50%超 |
外資対策と経営的失敗時の保険として、いずれかの修正を望みます。会社定款は現行で構わない。
政府試算によると民営化することで赤字になります。その理由は分社化で手数料経費が新たに発生し、さらにそこに消費税が700億円もかかることや民営(リスク投資を行う為に)の義務として巨額の預金保険料(約1100億円)を支払うことになるからです。
また、消費税収入はあっても法人税部分などで税収減となることも政府試算で出ています。赤字化+国家税収減という頭の痛い問題ですが、国民にとっても民営化して破綻してもらっては困ります。
そこで、その対策となるのですが・・・
| 対策 | 効用 | 問題点 |
| @分社化をやめる | 手数料にかかる消費税を節約でき、効率的経営が出来る。 | 消費税収は無くなり、窓口会社への出店競争もまず無くなる。 |
| A消費税の減免(分社化を強行する場合) | 最大で約700億円が節約できる。 | 政府の消費税収は減り、他民間企業の反感も。 |
| B預金保険料制度の改革 | 預金保険料1100億円の減額とリスク投資抑制及び預金保険制度の公平性UP。 | リスク投資への意欲減退・民間への資金流入に影響も。 |
@分社化をやめる
消費税部分の税収を失うことになりますが、元々発生しなかった部分ですし、効率的経営をさせるという名分のほうが郵政民営化で問われている筈。
問題の出店競争も民間金融機関が出店先の統廃合をしている以上(1997年→2003年で4000店閉鎖)、民間の参入意欲は薄いと思われる。
参入意欲があるとしても、自治体にATM設置開放部分を設けさせるなどで対応できる。←既に役場などで民間ATM設置が見られている。
A消費税の減免
@が認められない場合、消費税減免だけでも求める。
なぜ、郵政関連会社だけが減免されるのか?というバッシングがあり得る。が、地域貢献などの縛りを鑑み免税事業者に認定すれば良いだろう。
B預金保険料制度の改革 (郵政民営化関連法案とは異なる)
日本の預金保険制度では、民間金融機関は一律で預貯金額に料率を掛けられ徴収されています。
決済用預金/0.115%
一般預金等/0.083% (預金保険機構/預金保険料率の推移参照)
米国では金融機関の健全性などで預金保険料率が変わります。不健全な銀行と健全経営をしている銀行が同じ料率である事の方がおかしいですよね。日本でもこれを導入するべきです。
つまり、リスク投資を多くしている銀行には保険料率も高く、ローリスク投資を心掛けている銀行には保険料率を減免するのです。
これで、郵便貯金会社を含めた金融業界のリスク投資傾倒(利益優先)というモラルハザードも抑止できると思われますし、何より民間投資のノウハウの無い郵便貯金会社がノウハウを吸収するまで、保険料率を減免してあげることが出来ます。
ノウハウを得るまでは安全債権メインで投資するのですから、破綻リスク・破綻時の換金性に合わせた少ない保険料でかまわない筈です。
問題点の「民間への資金流入」は現在、民需自体が不足しており、現状で問題はありません。また、将来的にも保険料率の差をコントロールすることで弊害を抑制してゆけば良いでしょう。
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