郵政民営化について

2005年8月18日作成開始
 

これは時事政示板の郵政民営化スレッドの纏め&補足です(私・クラの意見が主となってます)。
下の表は簡潔にしたものです。詳しくはそれぞれのリンクで説明します。

郵政民営化が決定的になりました。民営化に望むことも作成(2005年9月13日)

郵政民営化の理由(誤解された公社) 実際の郵政公社像
郵政公社の職員40万弱を民間人にして税金節約!
26万人が公務員資格で残りはアルバイトなど民間人です。また、独立採算制で税金は使っていないです。
公務員だから高い給与でスリム化もできない! 公社職員の平均年収は民間並みかそれ以下です。
公社でも賃下げなどをしています。民営化・分社化は非効率そのものでもある。
郵政公社では赤字で儲からない 05年3月期決算は1兆2378億円の黒字です。政府も11年後でも黒字と認める。
民営化で税収UPと国民負担も減る! 公社の利益に対する税は数年後には民間よりも高い50%超となります。年金の面などでも相殺されます
財投債など特殊法人の資金源を断ち、
資金を間から民へ
民間銀行や年金基金なども財投債を購入しています。民営化しても特殊法人の資金源(無駄な出費)は絶てません。
天下り企業や特定郵便局の問題 改善が必要です。民営化であれ公社のままであれ、やれる改善です。また、公社になってからは郵政ファミリー企業が潰れるなど既に改善も見られつつもあります。
民間でしか出来ない事
新規事業で儲ける! 悪くないと思うけど、民間銀行の倒産劇を見ると成功するかは疑問。
職員のリストラ(首切り) 経済循環を考えると慎重になった方が良いですが、慢性的な赤字になった時には必要が生じるかもしれません。公社は自然減で先行的に対応中。
自由に過疎地域から撤退出来る 少なくとも郵便局しか金融機関がない地域があります。また、簡保にしか入れない職業の方もいます。政府も全国均一サービスを維持するとの事で、民営化議論の主題(民営のメリット)とはならない。
反対派の誤解
過疎地の郵便サービスが必ず無くなる。 ドイツの例だと郵便局数は民営化後に半減して利便性は悪くなっていますが、郵便ユニバーサル令によって過疎地でも一定のサービスは維持している。
不安はあっても「必ずなくなる」という事は無い。法案次第。


 

郵政公社の職員40万弱を民間人にして税金節約!?

 自民党は『38万人の国家公務員を民間人にする』(参照先・自民党郵政民営化編)と言っているのですが・・・実際は26万人が郵政公社の職員で他は主婦や学生アルバイトなどの非常勤務者です。当然、彼らは民間人です。
 平成15年度末の郵政公社職員数は26万1032人です。参照先・郵政公社郵政事業機関別職員数
 そして、郵政公社は 独立採算制であり、国の歳出80兆円からは一円も貰っていません。なので、国の歳出削減には郵政民営化は関係しません。
  本当に歳出削減したいのなら、ダムや空港といった無駄な出費を抑えれば良いだけです。また、国家公務員の給与引き下げをしたければ、郵政民営化に関わらずやれば良い筈ではないでしょうか。
 
 

公務員だから高い給与でスリム化も出来ない!?


 下の表にまとめた様に郵政公社の給与は民間並みかそれ以下でもあります。

平成15年度の郵政公社職員の平均年収 平成16年度の主なライバル民間企業の平均年収
郵便業務従事者平均/620万円 ヤマト運輸/576万円(平均年齢38.9歳)
郵貯業務従事者平均/570万円
(平均年齢40歳)
新生銀行/760万円(平均年齢・37.0歳)
静岡銀行/774万円(平均年齢・38.6歳)
青森銀行/680万円(平均年齢・39.8歳)
簡保業務従事者平均/600万円 T&Dホール/1014万円(平均年齢・39.8歳)
三井住友G/776万円(平均年齢・38歳)
ソニー生命/568万円+賞与+時間外手当
大同生命/567万円(平均年齢44.0歳)
公社三事業全体の平均年収は600万円(平均年齢41.1歳)です。
なお、平成14年度の平均年収は640万円でした。平成13年度は平均年収670万円。

 郵政公社は平成14年度より約40万円の賃下げ(主な要因は「給与」及び「賞与」の引下げ)を行っております。つまり、公社でも人件費削減は推進されております。民営化しなければならない理由は人件費・給与からは見当たりません。また、総職員数自体も削減され続けております。
 逆に民営化・分社化するということは社長ポストを増やす事になりますし、民間では統廃合が当たり前の中で分社化するというのは合理的とは思えないです。
 

郵政公社では赤字で儲からない?

公社全体 郵便業務 郵便貯金業務 簡易生命保険業務
04年3月期・純利益 2兆3,018億円 263億円 2兆2,755億円 2,325億円(経常利益)
05年3月期・純利益 1兆2,378億円 283億円 1兆2,095億円 6,333億円(経常利益)
政府の11年後試算
2016年度公社決算
1383億円の黒字 - - -
政府の2016年度
民営化決算(試算)
600億円の赤字 - - -

 05年3月期決算は1兆2378億円の黒字です。前年度より一兆円ほど利益が減ったのは株式などの評価益が無くなった為(僅かながら今期も評価益はあった)で、本業としては大きな収支悪化はありませんでした。

 また、民営化すると逆に赤字となる事を政府自身が認めました。ただし、これは固定資産税などの負担をさせる為でもあり、歳入を増やすという意味があります。この疑問点は後述(民営化で税収UPと国民負担も減る!?)。
 

民営化で税収UPと国民負担も減る!?

 小泉首相は「(郵政公社は)法人税も法人事業税も固定資産税も支払っていません」と言い、日本銀行協会も「10年間で印紙税や固定資産税を民間換算にすると1兆3,774億円負担していない」と言っています。
 しかし、それに相当するだけの金額を公社だからこそ負担したものもあります。また、固定資産税の一部など税金を支払っている部分もあります。下に詳細を表にしました。

公社だから負担した金額
旧国鉄の長期債務処理 総額1兆円
第三種、第四種郵便の政策料金 年間250億円(実際の損失額)
公社職員の年金(国庫負担分を受け取らない) 年間350億円(民間だと受け取れる)
現在も支払っている主な税金(平成15年度)参照先・首相官邸有識者会議議事
消費税 258億円
固定資産税 34億円
なお、平成16年度の租税公課は固定資産税の増加などにより総額413億円でした。
参照先・郵政公社2005ディスクロージャー資料編P123

 以上のように、公社だからこそ負担した金額もあり、一概に公社優遇とは言えません。また民間銀行には公的資金を数十兆円を投入され、そこに国民の血税が入っていると言うことも忘れてはならない。既に国民負担が確定した額では、長銀破綻(3兆2204億円)などで合計10兆円を超えます。

 次に法人税の面ですが、確かに平成16年度は納付しておりません。これは、会計制度の変更による職員の退職給付引当金の計上によって、財務体質を弱らせた為ですが、今後利益を積み重ねるに従い、民間企業以上の法人税・事業税(国庫納付金)を収めることになるでしょう。

民間企業の法人税率と事業税 法人税30%
事業税9.6%
公社の国庫負担金の計算=率 基準額(1500億円+{貯金残高×3%−資本金})を超えた『利益積立金の50%を納付する』
=2、3年後には利益(+前期に余分に貯めた金額)の「50%」
基準額に達したのちに、4年間1000億円づつ利益があり、次年度利益100億円の場合の公社負担例
経過年数 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
利益 1000億円 1000億円 1000億円 1000億円 100億円
基準額超過額 1000億円 1500億円 1750億円 1875億円 1037.5億円
税額 500億円 750億円 875億円 937.5億円 518.75億円
実質公社負担率(税率) 50% 75% 87.5% 93.75% 518.75%

 となります。今回は省きましたが、貯金残高が年々減っていくとの政府予想もあります。貯金額が減ることによって「基準額」も減ります(基準額超過額が増える)ので税率UPとなります。
 この例では公社の税率が50%〜500%超となりましたね。これは「基準額を超えた額は後々利益の100%が国庫に入る」という事を示しています。ただし、赤字になって積立金を取り崩すときには、その分が徴収されなくはなります。
 それでも、国へは民間企業以上に税金を納めることになるでしょう。
 
 実際に、政府試算(2016年度)で比較してみましょう。

(単位・億円) 法人税・事業税 固定資産・印紙税 消費税 政策料金負担 年金負担
公社試算(利益1383) 691(1383) - 258 250 350(550) 1549(2441)億円
民営試算(損失600) - 1377 700(?) - - 2077億円(−α)

 さて、微妙な数字ですね。()内で公社税額を加算しているのは、法人税では基本的に100%の利益が納付されると言うこと(この時点で50%の691億円は過小であることは間違いありません。)、年金負担の部分では国民年金の国庫負担率が3分の1から2分の1に引き上げられる政府方針によるものです。
 また、政府は民営化した場合、消費税を減免する考えも示しておりますから、今できる計算の上では殆ど差がないと言えると思います。固定資産税も過去の十年平均で算出したので、地価下落の影響から、減収可能性はあります。
 なお、固定資産税については銀行協会が民間と比べての不払い額を提示したと考え、公社試算に固定資産税を算入しませんでした。

 差がないとすると、「民営化では赤字」と言うデメリットも浮かび上がってきます。
 政府案も民主党案も赤字の場合、税金を投入してでも全国均一サービスをするという方針があるので、民営化による負担増も予想されます。

 預金保険(破綻したときに預貯金の保障とされる)に郵政貯金は加入していません。これでは郵貯が破綻したときに税金がつぎ込まれるではないか?との意見も有ります。
 しかし、郵政公社は運用先が国債中心で民間企業に対する貸付は行っていません。銀行の破綻劇は民間企業への貸付や土地担保の値下がりが原因で、郵貯とは関係は無いのです。
 「郵貯が破綻する時=国が破綻した時」であって、そのとき国が税金で郵貯を助けることはないでしょう。

 

財投債など特殊法人の資金源を断ち、資金を間から民へ?

 現在、財投債の25%〜30%を民間が新たに引き受けています。この割合は年々増えていき、2008年度には全て民間市場で取引されることになっています。
 今まで郵貯・簡保マネーが強制的に財政投融資=特殊法人に流れていたのは確かです。これを「無駄だ」として、平成13年度に財投改革がされたのです。
 現在はその移行期間で、2008年度までには過去に強制的に流された郵貯マネーは全額戻ってきます。今後は全て民間市場で資金を集めることとなっています。

特殊法人への資金の流れ
財投改革前 郵政公社→ 大蔵省へ強制送金 →
(資金運用部預託金)→
財投機関
(特殊法人)
←国会の関与は出来なかった
資金運用部(強制)廃止 国会関与の是正
財当改革後(現在) 郵政公社→ 政府へ任意 →→→
(自主運用で国債購入)
財投機関
(特殊法人)
←政府が特殊法人融資を決定

 ここで大切なのは

@郵貯マネーなどが「強制」から「自主運用」になった事。
A民間と同じ立場で国債を購入している事。
B特殊法人へのお金の流れを政府が握った事。

 つまり、郵政公社を民営化しようと、政府が特殊法人の為に国債・財投債を発行してお金を流している以上は、特殊法人の無駄はなくなりません。国債・財投債は最も安全な投資商品であるので、民営化後も買われてしまうのです。実際に、民間銀行が大量に国債を買っています。
 無駄の改善は、政府が特殊法人への融資をやめる以外にありません。財投改革前はそれが出来なかったが、今は違います。逆に、それをせずして、何の為の財投改革だったのでしょうか?

 

天下り企業や特定郵便局の問題

 国の作る特殊法人のほかに、「郵政ファミリー企業の問題も民営化で解決する!」というのも、民営化の大きな旗印の一つです。
 しかし、実は郵政公社が発足したときより、コスト削減のために郵政ファミリー企業への優遇は少なくなっています。
 実際に2003年九月末、「総合資材サービス」というファミリー企業が解散しました。郵政公社からの優遇取引が停止された為です。

 更に、実は郵政公社が天下り企業を作れるように「郵政公社法の出資条項(第21条)」を作ったのは他でもない自民党・公明党・保守党(2002年当時)なのです。
 つまり、国会で天下り企業つくり法案を通したのであれば、国会で天下り及びファミリー企業禁止法案を作ることも十分可能ですし、それは政府の責任でもあります。
 また、民営化すれば少なくとも現在は人事院の許可無く天下りが出来なかったものが、経営の自由で天下りを増加させる可能性もあります。民間でも分社化・子会社化で役員ポストを確保する企業があります。株主チェックも、どこまで働くかは定かではありません。株式の持たれ合いで、お互いに役員ポストを作っていた例もあります。

 最も効果的で即効性があり、確実なのは「公社でファミリー企業と天下りを不自由(禁止)にする」ことです。特定郵便局の問題(世襲制や渡切経費)も同様でしょう。
 実現は難しいという意見もありますが、他ならぬ小泉氏に出来ない事ではないでしょう。民主党も共産党も社民党も賛成する可能性は大きいのですから・・・(過去の法案審議態度及び公約から推測)。

民営化 ← 現状の公社 → 公社法の改正
ファミリー企業 自由(株主・経営者次第)
コスト削減で淘汰可能性
コスト削減で淘汰中 法案で禁止可能
特定郵便局 自由(株主・経営者次第)
コスト削減で廃止可能性
特定局長の公募制導入
(利権構造残り、不徹底)
法案で廃止可能
役員(天下り)の決定 自由(株主・経営者次第) 郵政官僚など天下りと
見られる点あり
法案で禁止可能
(国会関与など)

 基本的に民営化は、株主と経営者の良識・判断に頼り、全て期待通りになるかは不確かな部分があります。大よその改善はされると思われる。特定郵便局の世襲制は現段階で民営化後も残る見込み(郵便認証司制度)。

 公社法の改正では、国が責任をもって問題点を確実に正していくことで国民の信頼を取り戻す効果も副次的に得られるでしょう。
 

 
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