2009年1月16日に、和歌山県庁の市町村課に対し、下記の申し入れをしました。
和歌山県知事 殿

県行政書士会に対する知事権限発動を求める要請

2009年1月16日
田辺市稲成町1074
行政書士 佐々木香徳

田辺市の行政書士の佐々木と申します。和歌山県行政書士会と日本行政書士政治連盟和歌山県支部に対して訴訟を起こしておりましたが、2008年11月12日、大阪高裁で一部勝訴判決を得ました。(11月27日確定)。判決理由中で、行政書士会と政治連盟との関係の現状が違法であると明言されました。 この違法を是正させるのは、知事の役目であり、その発動を求めて本要請をいたします。

行政書士法に、知事が行政書士会に対して監督権限があることが明記されています。
行政書士法第18条の6:都道府県知事は行政書士会につき…、必要があると認めるときは、報告を求め、又はその行う業務につき勧告することができる。

逆にいえば、歴代知事がこの監督権限を行使しなかったために、違法状態が長年まかり通ってきたともいえます。何がどう違法なのかは、判決文をお読みいただきたいのですが、一言で言えば、「脱法的・強制的な団体献金を取り締まれ」、ということです。

政治献金をできない行政書士会が、献金をするためにダミー団体(政治連盟)を作り、その原資を確保するために書士会が便宜を与えるのは癒着であり許されない。個々の行政書士にとって事実上の強制献金だ(つまり憲法違反)ということです。

なお、本要請に対し、県当局が行政書士会・政治連盟に対してどのような報告を求め、どのような勧告を出し、行政書士会・政治連盟側からどのような返答があったか、佐々木に対しどのように報告したか…などの顛末について、後日情報公開請求をおこない、佐々木のウェブサイトで公開する予定です。

以下、要点をメモ書きします。

[法的性質など]
・行政書士会:行政書士法に基づく特殊法人で強制加入制。公的性格が強い。入会しないと仕事ができない(刑事罰あり)。会費を滞納すると裁判を起こされる。県内の会員数約370人
・行政書士政治連盟:政治資金規正法にもとづく政治団体。建前上は任意加入だが、全員が加入するよう圧力。県内で佐々木など15人が非加入。会費滞納でも罰則なし。県内で100人以上未払い。東京に本部、各県に支部を置く。全国で毎年1億円規模の資金を集め自・民の政治家に献金。公明新聞を購入。自民党から感謝状をもらうほどの関係

[佐々木が裁判で問題にした事実]
・日本行政書士会連合会の会報の中の政治連盟のページに「かつて革新的思想が増えたが、今は自民党が過半数なのでやりやすい」などと掲載
・和歌山県行政書士会が賃借する建物に、日本行政書士政治連盟和歌山県支部が同居
・両団体は、役員が重複。電話も同じ。ごく最近まで「行政書士会員数=政治連盟会員数」と会報に掲載。「両団体は表裏一体、車の両輪」と会報で公言
・行政書士会入会の際、さも当然のように政治連盟への加入も要求。佐々木に会費納入を何度も催告
・現会長は、政連会費を「数名が払っていない」と事実を曲げて公言。←佐々木に対する嫌がらせ?
・前会長は、「書士会会費を政連のために使うな」と質問され、「誰だって、他人の金でも持ってりゃ使いますわな」と答弁
・政治連盟は、事務所家賃、光熱費、人件費、事務用品費などをまともに負担しておらず、行政書士会が肩代わり。浮かせたお金(年間90万円)を政連本部へ上納→本部が自・民へ献金
・政治連盟から行政書士会に対し、経費負担をある程度支払ったと弁解するが、年により支払額や期日がバラバラ。振込でなく現金手渡し。請求書と領収書が同一筆跡。本当に支払ったのかも疑わしい。領収書(しかも収入印紙なし)と収支資金報告書で額が食い違うなど証拠偽造か?
・負担金の額を決めるのは同一人物(役員が重複)。民法108条(双方代理の禁止)違反
・諸物価高騰の折、毎年の負担額を決める明文ルールを作れ。振込みで払え
・もし、政治連盟が上記経費を世間並みに負担すれば、集まった政連会費は全額これに消え、中央上納など不可能(行政書士会にタダ乗りするからこそ上納が可能)
・政連の財政基盤は貧弱で、行政書士会の支援があって存続している。今回の裁判の弁護士報酬も、書士会が60万、政連は3万
・上記の問題の是正を、書士会会長選挙に立候補して主張した佐々木に対し、両団体幹部らが取り囲んで、「全員が政連に入るのが当然」と強要
・会長選挙のルールを改悪し、立候補のハードルを上げたのは、佐々木に対する報復・嫌がらせが目的であり、再改正せよ

[前提となる判例]
・牛島税理士訴訟…税理士会は強制加入であり、会員には様々の思想・信条を有するものが存在することが当然予定されている。政治団体に金員を寄附をするかどうかは、会員個人が自主的に決定すべき事柄である。税理士会が政治団体に金員の寄附をすることは、会の目的の範囲外の行為(1996年3月19日最高裁判決)

・吉岡行政書士訴訟…行政書士会は強制加入であり、会員個人の思想、信条の自由を害しないよう十分配慮する必要がある。書士会が政治団体に金員の寄附をすることは、行政書士の権益擁護のための法改正を実現するためであっても、書士会の目的の範囲外の行為であり違法・無効(2007年7月19日神戸地裁尼崎支部判決)←「一審判決を尊重し今後は寄付しない」と和解成立(2008年3月31日大阪高裁)

・日本歯科医師会(公益法人)と日本歯科医師連盟(政治団体)に対する各訴訟(鹿児島、京都、宮崎、福岡、大津)2002〜2003年

[今回の判例]
・行政書士会から政治団体に対し、実質的に金員の支出と同視できる行為(家賃や人件費など経費の肩代わり)も、書士会の目的の範囲外の行為であり違法・無効である(判決p.11)

[判決が指摘した政治連盟の現状] (判決p.9、p.14)
・会員資格の定めが明確でない。独自の会員名簿を作成していない
・役員が重複(支部長=会長、副支部長=副会長、幹事=理事)
・専用物品はわずか
・書士会の事務員が政連の事務を処理
・書士会の事務用品・消耗品を任意に使用
・強制加入団体である書士会と組織、会務の運営の区別がされていない点が違法
・役員らが、書士会と政連の区別の意識なしに、佐々木に政連加入を強要した(不法行為)

[知事の介入(権限発動)を求めたい点]
・無料ないし低額過ぎる経費負担を違法だと認め、繰り返さないことを誓約させる
・両団体は別個であることを認め、書士会は政連に一切の利益供与をしない
・書士会は、政連に対し過去に不当に与えた利益と、本裁判の弁護士報酬を政連から返還させる
・再発防止策・返還計画を文書で知事あてに提出。会報にも掲載
・役員を分離する。現執行部の引責辞任
・政連規約の改正(入会・退会要件を明確化、役員選任方法の明記)
・佐々木への謝罪(政連加入強要)と謝罪文の公表。会報に掲載
・政連加入は全くの任意である旨を、全会員に周知。加入するのか脱退するのかを全員に再確認
・本件と憲法について、会内研修を8支部すべてで開く
・政連は、直ちに書士会事務所から立ち退く

[予想される言い訳と反論]
・言い訳…行政書士会は政治活動ができない。行政書士制度を発展させるために政治力が必要。献金を持っていかないと政治家は相手にしてくれない
・反論…行政書士会は政治献金できないが政治活動はできる。「こういう内容の法改正をしてくれ」と政治家に陳情することは正当である。政治活動=政治献金と思っているのか。「カネで法案を買う」ことになる。自称「街の法律家」が法律違反をするのか。なお、「政連に入れ」という勧誘自体がすでに政治活動であり、行政書士会の言い分は矛盾する。

2009年2月23日、和歌山県が和歌山県行政書士会に対し、下の文書を出しました。
この文書の法的性質を、佐々木が県当局に問うたところ、「行政指導である」という返事でした。行政指導というのは、強制力がありませんし、これに従わないことを理由として行政は不利益な扱いをすることもできません。

2009年3月24日、和歌山県行政書士会が和歌山県に報告をしました。
ただし、事務所の分離はしない、家賃や経費は低額のまま据え置き、行政書士会と政連の役員の重複解消には触れず、 佐々木が裁判を起こす前と何ら変わっていません。まったくふざけた内容です。
こんなものを「はい、そうですか」と受け取った県当局の姿勢が問われます。
県当局は「政治団体の活動と一体であるとの誤解を与えることの無いよう」にしろと言った以上、 事務所の同居は認めない、役員の重複も認めないなど、もっと厳しい内容の指導をし、従わなければ、行政書士法上の勧告措置を発動すべきです。


文中に出てくる写真は省略しました。

上記の2月23日付市町村第804号文書と、3月24日付和行士発第437号文書は、佐々木が県に情報公開請求して入手したものです。(開示決定通知書:平成21年5月1日付市町村第140号)