☆老後の財産管理(成年後見制度)☆

 だれでも年をとれば、多かれ少なかれ判断能力が衰えてきます。
 「よくわからないままハンコを押したら、ただの小麦粉を詰めた“健康食品”を30万円で買う契約だった」とか、「駅前の一等地を10万円で売る契約だった」などの悪徳商法被害に遭う可能性があります。
 こんなことで、せっかく苦労して築いた財産をなくしてしまっては大変です。

 遺産分割や介護に必要な契約が、一人でできない場合や不安な場合もあります。このような時にも、成年後見人が本人に代わって契約を結んだりします。

 2000年4月から「成年後見(せいねんこうけん)制度」が始まりました。もしもの場合に備えて、この利用を検討されてみてはいかがでしょうか。


☆成年後見とは☆

 成年後見とは、判断能力の衰えた人が自分に不利な契約などの法律行為をした(させられた)場合、行為者を保護するために、後でそれを取り消しできる制度です。

 例えば未成年者は、「20歳になるまでは判断能力が不十分である」と法律上みなされています。
 仮に何らかの法律行為をしても、後になってその法律行為が自分にとって不利であると思い直した時は、何ら特別な理由がなくても取り消しが認められます。
 20歳以上の人は、そう簡単に取り消せませんから、未成年者は法律上守られています。

 成年後見も、基本的にはこれと同じことです。

 なお、旧法で「禁治産者」・「準禁治産者」宣告制度があり、戸籍に記載されていましたが、新制度では記載されなくなりました。
 代わりに東京法務局に登記されます。ただし、この登記は誰でも見られるわけではないので、プライバシーも守られます。


☆法定後見と任意後見☆

 成年後見には、「法定後見」と「任意後見」があります。

法定後見

 法定後見は、すでに判断能力(事理弁識能力)の不十分な状態にある人が対象です。
 判断能力の障害の程度により、重い順に、「後見」・「保佐」・「補助」の3種類に分かれます。

 本人や親族など関係者が、どのような援助が必要かを考慮して家庭裁判所に申し立てをし、家裁は審判によって面倒をみる人(後見人・保佐人・補助人)を選任します。

(なお、親族がいない場合などには、本人の福祉のため、市町村長が上の申し立てをすることもできます)

 後見人・保佐人・補助人の順に、代理権や同意権・取消権の範囲が狭くなります。

後 見被後見人が行った法律行為は、日用品購入などを除き後見人が取り消せる/
財産行為は後見人が代理
保 佐被保佐人は借金・保証・不動産処分・相続など重要な法律行為をするには保佐人の同意が必要/
保佐人も取消権を持つ
補 助同意が必要な行為の範囲が、被保佐人より狭い

 申し立てをするには、戸籍謄本、診断書などが必要となります。

 申し立てがあると、家裁調査官や場合によっては審判官が、本人や関係者に会って申し立ての理由、意向などを聞きます。必要に応じて、本人の判断能力について鑑定が行われます。

 誰を後見人・保佐人・補助人にするかは、家庭裁判所が事情を考えて決めます。親族が選ばれることもあれば、行政書士や弁護士、司法書士など法律家や、社会福祉士、あるいは社会福祉協議会など法人が選ばれることもあります。

 複数が選ばれることもあります。(財産管理を法律家に、身辺の世話を福祉専門家に、など)

 後見人(保佐人・補助人)の仕事をチェックする役目の、後見監督人(保佐監督人・補助監督人)があります。

任意後見

 任意後見は、自分の先行きに不安を感じる人が、あらかじめ(元気なうちに)契約で「任意後見受任者」を選んでおきます。

 日常生活・療養看護・財産管理事務の全部または一部を委託し代理してもらう内容の委任契約です。

 「私は今は元気だが、『将来もし能力が衰えた場合には、○○さんを私の任意後見人として、▽▽と□□の事務をお願いする』」という内容の契約を、「公正証書」(公証人に頼んで作ってもらう証書)で結びます。
 「誰に」「何を」頼むかは、本人の自由です。

(例)行政書士の佐々木香徳さんに預金の管理を頼んでおく

 この契約が結ばれた後、本人の判断能力が現実に不十分になった場合、申し立てにより家庭裁判所が「任意後見監督人」を選び、契約が発効します。