平成18年(ワ)第167号 債務不存在確認並びに不当利得返還請求及び損害賠償請求事件
原 告 佐々木香徳
被 告 和歌山県行政書士会 日本行政書士政治連盟和歌山県支部
準 備 書 面(6)
平成19年11月19日
原告 佐々木香徳 印
和歌山地方裁判所田辺支部 御中
はじめに
原告が最後に書面を提出(7月20日付陳述書=甲23号証)した後、4ヶ月近く経過し、その間に新たな重要な事実が判明したので、従来の主張に若干の補充をお許し頂きたい。
また、被告らは、10月12日付準備書面(3)で、新たな主張を持ち出したので、これにも最小限の反論を加えたい。いずれも、従来の原告の主張を変更するものではない。
1 県政連の赤字転落が物語ること
被告県政連が和歌山県選挙管理委員会に届け出た平成18年分収支報告書(甲24号証)が、本年9月28日からようやく公開された。昨年までは、毎年3月からその前年分を閲覧可能だったが、小泉政権が法改悪をし、9月に延ばされた。その写しが県選管から原告に郵送されたのが10月16日であり、10月12日の裁判期日に間に合わなかった。意図的な訴訟遅延ではないことを、まずご理解いただきたい。
甲25号証は、平成14年〜18年分の収支報告書を、1枚にまとめたものである。
県政連の平成18年(暦年)の収支は、単年赤字となった。年間収入127万7211円に対し、支出は147万6699円、差引19万9488円の赤字だ。これを前年の繰越金26万5805円で穴埋めし、翌年への繰越はわずか6万6317円しかない。
平成17年も17万6002円の単年赤字であり、2年連続である。
原告が、行政書士会総会での質問、県知事への申し入れ、本訴などを通じ、「県政連が行政書士会にタダ乗りしているのは不当だ」と批判したのを無視できなくなり、県政連が、経費負担を若干であるが増額した結果、支出が収入を上回るようになった。
この数字は何を物語るか。県政連が、現行会費(1人月額400円)ではもともと運営できない状態にあったという、厳然たる事実である。
県政連会費が月額400円になったのは平成14年4月だ。それより前は同300円だった。原告が「タダ乗り」批判を積極的に始めたのは同16年である。
16年4月以降、県政連は行政書士会に家賃を払い始め、17年度以降はコピーやファクスの枚数を細かく計算し、1円単位まで払うように改めた、というのが被告らの主張である。(ただし原告は、その領収書は事後に作った偽物であると考え、乙12〜15号証の成立について争う。3万円を超える領収額に収入印紙を貼っていないのは、偽物の証拠だ。)
原告が「タダ乗り」批判を始める前、即ち家賃を1円も払わなかった平成15年は、県政連の単年収支は13万4647円の黒字であった。平成14年は、自民党県議・井出益弘氏の藍綬褒章祝賀会会費として20万円の臨時的な出費があったため、1万4929円の赤字であるが、もしこれがなければ、実質18万5071円の黒字だったはずだ。
ところが、4月から12月まで家賃を払った平成16年は、黒字幅が3万3965円に急減し、17年・18年は単年収支が大幅赤字になった。県政連執行部は、20年4月から会費を1人月額600円に値上げすることを19年度定期大会に提案した。
被告らは、「県政連は、行政書士会へ十分な必要経費を払っており、不当利得は存在しない」と主張する。もしそれが本当なら、家賃を払い始めた途端に財政が悪化し、赤字に転落することもなく、現行の会費を値上げする必要もないはずだ。従来払ってこなかった経費を払い始めたために、赤字になって値上げせざるを得なくなったと考えるのが、経験則に合致する。
念のため、県政連の収入が激減したり、行政書士会への支払い以外の支出が急増したりする事実がないか、収支報告書を検討すると、そういう事実はない。
即ち、県政連は、月額400円の会費では、もともと存続しえない状態にあった。それが存続できてきたのは、書士会から“議決なき寄付”があったからだと断定できる。
県政連の現行の負担額は過少であり、県政連は会費を何倍にも値上げして、書士会にもっと支払うべきだと原告は考えるが、この2つの客観的事実(赤字転落と会費値上げ)が証明したのは、次のことがらである。
◎行政書士会会費(1人月額6000円)のうち、どんなに少なくとも200円(県政連会費の値上げ幅)については、県政連のために使われてきた
◎県政連に加入していない原告には、月額5800円を超える会費納入義務が存在しない
つまり、被告らが準備書面(3)2頁で述べたように、「特定の政治団体(県政連)へ(月200円を)寄付するために(その分を含めて、書士会)会費(月6000円)を徴収することを(あらかじめ)定めて」いたことが、今回明らかになった。憲法19条、民法90条違反は明白だ。
もし被告らの主張に従えば、「会費は月6000円ですよ」とだけ決めて、一部をこっそり政治団体に横流ししても、その規定は無効にならないが、「赤字すれすれの政治連盟を助けるために、200円ほど上乗せして行政書士会会費を集めます」などと明文で決めた場合にのみ、憲法・民法に違反して無効になるという結論になる。しかし、前者が後者より悪質なのは明白であり、被告らの主張は、法的妥当性を欠く。
もっとも、原告は、「月額3000円を超えて会費納入義務がない」とする当初の主張を変えるものではない。ただ、被告らが「原告主張の3000円には計算根拠がない」としつこく言うので、そのうち確定的な200円について、根拠を示しておくものである。
2 被告県政連の収支および資産について
再び甲25号証を見ると、県政連の年間収入と支出は約130〜160万円である。支出の大部分は、日本行政書士政治連盟本部への上納金であり、毎年84〜90万円に達する。つまり被告県政連は、収入の約60%を本部へ上納し、手元に残る金額は、年間40〜70万円程度に過ぎない。要するにトンネル団体である。
被告らは、準備書面(2)2頁で「年間50〜90万円の経費を支出している」と主張したが、手元に40〜70万円しかないのに、どうやって90万円も払えるのか。明らかな虚偽である。
法律家だけで構成する政治団体が、裁判所に対して平気で嘘をつくとは許しがたい。このような体質の団体が司法参入を希望しても、国民には有害なだけで、弁護士会や司法書士会が反対するのは当然だ。その反対論を政治力で押さえ込むために、政治家にさらに献金する目的で会費値上げするのだろうか?
なお、県政連の平成19年3月31日現在の貸借対照表および財産目録(甲26号証)では、資産は2,654,537円もある。しかし、現金預金は596,937円しかなく、1,997,600円は「未収入金」である。この未収金には原告が払っていない会費も計上されており、回収できるはずがない。未収入金は年々増えている。県政連の役員らが、原告に対し「政連に入れ」、「入るのが嫌なら会費分を寄付せよ」と要求したことを示す傍証として挙げておく。
また、財産目録には、資産欄に備品が一切ない。つまり、県政連は自前のパソコン1台どころか、鉛筆1本すら持っていない。要するに、県政連は財政基盤が非常に貧弱であり、行政書士会の支えがあってこそ存続できてきたことが、ここでも読み取れる。
3 再び弁護士報酬について
原告は、今年6月15日の裁判期日で、被告らに対し、両団体の平成18年度決算書および19年度予算書の提出を求め、裁判長もそれを約束した。原告はずっと待っていたが、いまだに提出されないので、原告が独自に入手したものを本日提出する(甲27〜30号証)。被告らが早期に提出していれば、もっと早い段階で論述できたものであり、原告の過失ではない。
それによると、18年度に被告書士会は、雑費(セコム、裁判費用、他)として801,120円を支出した(甲27号証)。前年度のセコム費用他が184,001円であることを考えると、訴訟費用(弁護士報酬)として約60万円を支出したと推計できる。また書士会は、19年度予算では「訴訟対策費」科目を新設し、500,000円を計上した。(甲28号証)
一方、被告県政連の18年度決算をみると、訴訟費用は予備費から32,016円を支出した(甲29号証)。19年度予算では、「訴訟対策費」科目を新設し、34,000円を計上した。(甲30号証)
かつて裁判長は、「弁護士費用をどちらがいくら出そうが、原告に関係ないじゃないか」とおっしゃったが、そのご意見には失礼ながら異論ありと言わざるを得ない。
そもそも、いったいどこの弁護士が、年間たった3万円余の報酬で地裁の訴訟を受任してくれるだろうか?(そんな“激安弁護士”がいれば、原告が委任したい。)提訴から1年以上たった現在において、被告県政連が訴訟を追行できているのも、行政書士会から相応の弁護士報酬の支払いがあればこそである。3万円など、着手金どころか、月山弁護士が田辺まで何度も出張する旅費にすら満たない。(和歌山〜紀伊田辺を特急指定席で往復すると6,140円必要)
被告らは、「県政連は、行政書士会へ十分な必要経費を払っており、不当利得は存在しない」、「被告らもその峻別に注意を払ってきた」、「県政連の活動に伴う諸費用、諸経費については、県政連が独自に支出してきた」などと、声高に主張する。もしその言葉に偽りがなければ、本訴で月山弁護士に支払った報酬も、家賃や人件費や光熱費と同じく、共通経費の1項目として、両団体が実際の受益割合に応じて負担して当然だ。
しかし、「60万円対3万2000円」とは、差が大きすぎる。「行政書士会による肩代わりはない」と裁判で主張しながら、その舌の根も乾かぬうちに「その裁判のための弁護士報酬は行政書士会に肩代わりしてもらった」という事実があれば、元の主張自体が根拠を失うというべきである。この裁判自体が、行政書士会による諸経費肩代わりの証拠だ。
さらに、県政連が、平成18年度に32,016円の弁護士報酬を本当に支払ったという証拠もない。県政連の平成18年収支報告書の中に、その記載が無いからだ。それとも、収支報告書が虚偽なのか?
4 行政書士会の公的性格と課税について
被告書士会は、法人税(国税)、法人住民税(地方税)を支払っていない。その理由は、行政書士会が公的な団体だから、政策的に免除されているのである。
法人税については、行政書士会は「公益法人等」と明記され、収益事業を行わない限り、法人税が課税されない。(所得税法第2条6号および別表第二)
法人県民税についても、和歌山県税条例第36条により、法人税を支払わない限り、法人県民税の均等割が特例的に免除される。
逆にいえば、行政書士会であっても、収益事業を行えば法人税が課税され、法人税が課税されれば、法人県民税(均等割は年2万円)が課税される。このほか、和歌山市からも法人市民税均等割(年5万円)が課税される。
それが課税されないということは、政府や地方自治体から補助金を受け取っているのと同じである。政府や自治体から補助金を受けた団体が、政治団体に献金することは、政治資金規正法違反であり、憲法上も許されないことは、被告らも異論あるまい。
さて、「収益事業」とは何か。税法は33種類を定めている。不動産を賃貸して賃料を受け取ることは収益事業に該当する、と大阪国税局のパンフレットは明記する。(甲31号証)
書士会は、平成16年度以降、県政連から家賃を受け取った。被告らの主張によれば、県政連の物品が占有する体積は微小であり月額4500円でも多すぎるというのだから、書士会は家賃をもらうことで収益をあげていたことを自ら認めた。
よって、同年度以降、法人税と法人県・市民税が課税されるはずである。(今まで課税されなかったのは、書士会の無申告と、税務署、和歌山県、和歌山市の調査不足だと思われる)
原告は本年10月31日、被告の住所を管轄する和歌山税務署に対し、「和歌山県行政書士会に法人税を課税せよ」との通知を行った。法人税率は22%だから、年間税額は60,000円×22%=13,200円である。法人県・市民税均等割70,000円と合わせ、年間83,200円の税負担が生じる。(実際は法人県・市民税法人税割も課税されるが、計算が煩雑になるので略す。)
つまり、年間89,743円以下の家賃では、県政連から受け取った金額以上の税金が課税され損をする。手元に6万円を残すには、県政連から17万円近く受け取らねばならない。
年間6万円の家賃すら払いあぐねている団体が、さらに11万円も払えるはずがない。
書士会執行部が政治団体の同居を認め、少額の家賃を受け取ったために、その額を超える税金を払わされる羽目になる。会財政に損害を与える背任行為である。
家賃をもらって税金を申告しなければ脱税、少額の家賃をもらって税金を払えば背任、家賃をもらわなければ憲法違反。どう転んでも、「行政書士会事務所から県政連を退去させる」以外の結論は出ないはずだ。そうならないのは、書士会理事全員が政治連盟に入っていて、両者が癒着しているからだ。
被告らは、県政連が平成14〜15年度に使用したコピー代(用紙代とパフォーマンスチャージ)の算定が、実際の使用枚数に基づいたものではない点を原告に指摘され、「次年度で実際の使用枚数に基づいて算定したら、1万円を切っていた。だから行政書士会は県政連に利得を与えていなかった」と主張する。定期大会の会場費についても、同趣旨の主張をする。
仮にそれが真実なら、行政書士会は、県政連から実費以上のコピー代や会場費を受け取って、差額分の収益をあげたことになり、その収益に対して法人税を申告・納税する義務があった。それを怠れば脱税である。
5 被告ら準備書面(3)への反論
(1) 事務員の給与について
被告らは、事務員の給与の算定について、準備書面(3)でようやく見解を示したので、反論する。「給与の負担割合で労働時間を決めるのはナンセンス」という被告らの主張には驚く。単純労働者の給与を、労働時間以外の何を基準に決めろというのだろうか。最低賃金法が最低賃金を時間給で規定するのもナンセンスだと言うのか。
事務の内容も、「平易かつ単純」とは言えない。県政連が県選管に毎年届け出る「収支報告書」は、書士会が雇用する事務員の松本友紀さんが書いている(甲19号証の1)。この書類の記入は、専門知識がないと不可能だ。簿記の知識に加え、政治資金規正法の知識が要求される。月額5000円(月1万円の負担金は2人分だから)の低額で、しかも社会保険料負担0円で雇える人材ではない。
原告は、書士会総会で「なぜ人件費がこんなにも高いのか」と質問したことがある。会長の答えは「残業が多いから」だった。残業をさせれば、割増賃金を払わねばならない。本来の労働時間で書士会の業務をさせ、残業で県政連の業務をさせたことはないのか。本来の労働時間内で県政連の業務をしたために、書士会の業務が残業にずれ込んだことが一度もないと証言できるのか。一度でもあれば、割増分が政連の不当利得になる。
社会保険料すら払わず、2人で年間12万円の負担が、少なすぎることは明白だ。
(2) 諸経費に関して
「県政連の活動に伴う諸費用、諸経費については、県政連が独自に支出してきた」と主張する団体が、書士会の「支払証ひょう貼付書」を流用したり、現金払いなのか小切手なのかの記入すら無い怪しげな領収書を授受したり、金銭授受の日と額が客観的に証明される銀行振込を故意に避けたりして、費用負担の真実性を自ら掘り崩すような行為をするはずがない。
被告らは、原告が「県政連の会員の定義を示せ」と聞いても、「何をもって会員と捉えるかについてはっきりした基準を有しないのが実状」とか、弁護士が苦笑いしながら「いやー、そこらへんは本当にどんぶり勘定なんですよ」と答えるなど、無責任な態度を現在も続けている。
「誰が県政連会員で、誰が非会員なのか、区別の基準は何か」。こんな基本的な事項についてすら1年経っても示せない人たちが、どうして諸費用、諸経費に関してだけは、1円の狂いもなく峻別できるのだろうか。ありえない話である。
(3)書士会役員選任規則無効確認についての被告ら主張に対する反論
被告らは、書士会役員選任規則の無効確認に対し、本案前の答弁として、「原告の訴えを却下する」ことを今回初めて求めた。本訴提起から約1年も経ってから、急にこのような主張を始めるのは、時機に後れた防御方法であり、民訴法157条により却下を求める。
また原告は、これら条項が無効であることが確認されれば、書士会が行った規則改悪がもっぱら原告に対する報復目的だったとして慰謝料請求をする強力な根拠の1つとして主張できるのだから、確認の利益を有する。
(4) 「書士会は私人」との被告ら主張に対する反論
靖国神社の議論のようだが、被告書士会は、私人ではなく、公人である。公的性格を持つがゆえに、税金免除の特典が与えられているのは既述のとおりだ。一方、被告県政連が、一切の公益性をもたないことは、被告らも異論はないだろう。
原告が訴状6頁で紹介した兵庫県行政書士会に対する裁判の判決(神戸地裁尼崎支部平成17年(ワ)第1227号)が、本年7月17日に下された。この判決でも、行政書士会は(「兵庫県行政書士会は」ではないことに注意)、その目的が会則の定めを待たず、あらかじめ法律により定められ、その設立も法律により義務付けられ、行政書士が間接的に加入を強制されているなど、公的な性格を有する団体である、と判示した。
和歌山県行政書士会は、公人なので、その規則に憲法が(直接的か間接的かは別として)適用されることは当然である。
被告らは、書士会の規則等の制定・改正に関して公権力の介入は許されるべきではない、などと主張する。しかし、行政書士法第16条の2に明記してあるように、行政書士会会則の制定・変更は知事の認可を受けなければならない。(認可を受けなければ効力がない。)
同法18条の6は、知事が行政書士会につき、報告を求め、その業務につき勧告することができる、と規定する。役員選任規則の改定が「その業務」に含まれることは疑いない。
行政書士法そのものが行政書士会への公権力の介入を積極的に要求しているのであり、被告らの主張は根本から誤っている。
書士会は「内部規律については被告書士会の意思が最大限尊重されるべきだ」とも主張する。しかし、その構成員の意思確認はどのように行われたか。もともと和歌山市支部の会員が半数を占める理事たちが、和歌山市内で開いた密室の会議で決めたのである。県南部の一般会員の意思は反映されていない。
(5)役員選任規則の不合理性について
被告らは、郵便投票を認めない書士会役員選任規則4条は不合理ではないと強弁する。それでは、その選挙(総会)の実態を簡潔に述べる。
被告書士会の会員(すなわち会長選挙の有権者)は約370人いるが、総会に出席するのは例年60〜90人程度で、20%前後に過ぎない。近年、総会は和歌山市でばかり開かれており、遠方の田辺支部や新宮支部からの出席率は2%〜5%程度と想定される。これをはっきりさせるために、原告は、最近6年間の総会出席者名簿の提出を被告書士会に求める。この名簿と会員名簿を照合すれば、支部別の出席率が計算でき、会員の投票の自由が実質的に阻害されたかどうか、“南北格差”の有無が明らかにできる。
次に、同規則14条2項について。被告らはここでも偽りとごまかしをしている。「選挙公報での所信は無制限」と言うが、原告が平成17年に会長選挙に立候補したとき、書士会選管委員長は、「800字までだ」と原告に説明した。このため原告は、苦心して800字以内に削ったのである。選管委員長は虚偽の説明をしたのか?
字数をめぐり「混乱を生じていた」と過去完了形を使っているが、原告が立候補したときに、被告の笠野会長が1100字を超える所信を書いたため、原告が「規則違反ではないか」と初めて問題にしたのである。原告が立候補する前から混乱が存在したような言い回しは不正確であり、裁判所の事実認定を誤らせるものである。
(6)役員選任規則を改正しなかった不作為についての被告ら主張への反論
被告らは、郵便投票などを認めるよう規則改正をしなかった不作為について、本案前の答弁として、訴え却下などを求めてきた。これに対しても原告は、時機に後れた防御方法として却下を求め、本案判決を求める。
乙23号証によると、書士会の尾崎前会長は平成17年5月25日の総会で、郵便投票を認めるよう「十二分に検討する」と述べたという。それならば、少なくとも検討する義務を負ったはずだ。その検討義務は、笠野会長に代わっても引き継がれる。しかし、同日以降、理事会で郵便投票・郵送による立候補受付を認めるか否か、とことん議論した結果、見送りになったという話を、原告は聞いたことがない。
6 笠野氏個人の提訴について
被告らは、準備書面(3)8頁で、“訴外笠野義二氏が、県政連の会費を払わない行政書士会員が数名いると述べた事実に間違いはないが、書士会副会長の立場ではなく一会員として述べたのであるから、書士会は不法行為責任を負わない”と主張した。
原告は、「会長になってからも同趣旨の発言を繰り返し(甲16号証)て、原告の名誉を毀損した。よって書士会に責任あり」と反論したが、被告らはこれについて否認した。
そこで原告は、書士会に対する同請求は維持しつつ、笠野氏個人に対しても、別訴(不法行為による損害賠償請求)をやむをえず提起する。既に2年半が経過し消滅時効も迫る。
田辺簡裁への提訴となるが、本訴と合わせての審理をお願いする次第である。
7 和歌山県への申し入れ直後の、笠野氏の態度について
原告は平成17年4月19日、行政書士会を監督する和歌山県に対し、書士会と県政連を峻別させるよう申し入れをした。県はその旨を書士会に電話で注意した。
その数日後、原告は笠野氏に直接電話した。
佐々木:先日、県庁から「行政書士会と政治連盟を峻別しろ」と注意されたでしょう。
笠 野:注意ではない。要望されただけだ。そんな下らんことで、いちいち電話してくるな!
笠野氏は、思わず一喝した後、まずいと思ったのか、一転して諭すような口調でこう続けた。
笠 野:あのなあ。あんたも会員なんだから、会の不利益になるようなことをするなよ。
表向きは「被告らもその峻別に注意を払ってきた」という団体の現職副会長で、次期会長候補者が、1対1の電話では「峻別なんて下らんこと」、「峻別は会の不利益」とまで言い放ったのだ。被告らが、両団体の峻別に注意を払ってきたのであれば、絶対に出るはずのない言葉である。被告らの本音ここにあり、と言わざるを得ない。
原告は、笠野氏本人の証人尋問を改めて求める。
8 細かい追加事項
(1) 大津訴訟事件番号
原告が訴状9頁(イ)で援用した日本歯科医師連盟大津訴訟判決(大津地裁平成15年10月16日)の事件番号は、大津地裁平成13年(ワ)第570号である。
(2)今年の参院選でも自民党
甲32号証は本年7月23日付の「しんぶん赤旗」である。被告行政書士会の上部団体=日本行政書士会連合会が、その会報誌「日本行政」6月号とともに、被告県政連の上部団体=日本行政書士政治連盟が発行した参院選(自民党・森元候補)応援の文書を、滋賀県の行政書士に送付したのを批判する記事である。
被告らは不偏不党などではなく、まぎれもなく特定の政党を一体となって応援している。
(3)弁護士政治連盟の人数
被告らは、答弁書3頁で、弁護士、司法書士も政治連盟を組織していると述べ、県政連の実態を正当化しようとした。しかし、総務省が平成18年9月8日に発表した収支報告書によると、日本弁護士政治連盟は、850人しか加入者がいない。弁護士総数2万4000人に比べて微小な数字である。
(4)紀伊民報CM
田辺市に本社がある地域新聞「紀伊民報」の本年9月16日付に、社団法人和歌山県宅地建物取引業協会田辺支部の広告(甲33号証)が掲載され、行政書士の重要な独占業務である「農地転用」が、土地家屋調査士の業務であるかのように、誤って宣伝された。
さすがに、行政書士会田辺支部が抗議して、2回目の広告ではその記述はなくなったものの、「16日付の広告で『農地転用の相談は土地家屋調査士の業務』と紹介しましたが、『行政書士の業務』の誤りでした」との積極的な訂正はされておらず、書士会の対応は不十分だ。
また、行政書士は宅地建物取引業との関係では、農地転用や売買・貸借許可申請のほか、不動産取得税の申告代理などが業務として法定されており、宅建協会と関係の深い業種であるにもかかわらず、専門家として招待されていない。
原告は7月20日付「陳述書」で、紀南で行政書士の名前と業務内容が浸透していないことを例証し、被告書士会の怠慢の責任を問うたが、それを早くも裏付けた。
(5)税務当局の見解
県政連から書士会への家賃支払いが、収益に当たるかどうかの判断について、和歌山税務署は10月31日、被告らが主張する、体積による比較ではなく、「両団体が使う面積が基準になる」と原告に明言した。また、領収書に収入印紙が「たぶん必要だ」と答えた。
以上
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