2009年5月の和歌山県行政書士会総会および田辺支部総会での、議長の不当な議事運営に対し、新たな裁判を起こしました。

佐々木がこれらの会議で、役員人事について「政連加入者が役員を独占するのは不当だ」と発言しようとしたのを、多数を使って妨害したことの責任追及を始めます。
形式上は、議長個人が被告ですので、被告の個人名や住所は伏せます。

事件番号:H21(ハ)第269号

第1回弁論期日:2009年9月15日(火)午前11時
第2回弁論期日:2009年10月27日(火)午後2時半

           訴  状

          平成21年7月29日

田辺簡易裁判所 御中

 〒646-0051  和歌山県田辺市稲成町1074番地
             原 告   佐々木香徳  印
              TEL 0739−26−6618
              FAX 020−4669−2580

 〒646-○○○○和歌山県田辺市○○○○
              被 告  ○○ ○○
              TEL 0739−○○−○○○○

損害賠償請求事件
訴訟物の価格    金 10万円
貼用印紙額     金 1,000円

第一  請求の趣旨

1 被告は原告に対し、金10万円を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決及び仮執行の宣言を求める。

第二  請求の原因

1 当事者について

原告・被告ともに、和歌山県行政書士会(以下、「書士会」という)および同会田辺支部(以下、「田辺支部」という)に所属する行政書士である。被告は、少なくとも4年以上前から引き続いて田辺支部長であり、書士会理事でもある。

2 関係団体について

書士会は、行政書士法(昭和26年法律第4号)15条にもとづき、各都道府県に1つだけ設置される特殊法人であり、個々の行政書士は入会を強制される。入会しないで行政書士の業務を行うことは刑罰をもって禁止される(同法19条)。
従って個々の会員は、書士会の運営に不満があっても、脱退したり、別個の行政書士会を作ったりすることは不可能である(甲1、8頁)。この意味で、書士会は強い公共性があり、最も民主的に運営され、政治的に中立でなければならない。
田辺支部についても同様である。

一方、「日本行政書士政治連盟和歌山県支部」と称する政治団体(以下、「県政連」という)が存在するが、特定政党を支持する単なる私的団体に過ぎず、一切の公共性をもたない。当然、加入する・しないは任意である。原告は加入していない。被告は加入しており、役員(幹事)でもある。即ち、両団体の役員を兼任する。

性格の相反する2つの団体が、組織・会務の区別がされず、役員に区別の意識もない点の違法性について、大阪高裁は昨年、判決(平成20年(ネ)1189号。甲1)で厳しく指摘した。この判決は確定した。
同判決文14〜15頁より引用する。

…県政連は,政治活動を行うことを目的に日本行政書士政治連盟(日政連)の下部組織として政治資金規正法に基づき届出された任意加入の政治団体であって,行政書士制度の充実発展を期するための政治活動等を行うことを事業内容とし,特定政党を支持しているところ,会務の運営上,被控訴人書士会との区別が明確でなく,トップ役員である支部長が同書士会会長,副支部長が同書士会副会長等,同書士会の役員がほとんどがそのまま役員となっており,同書士会の事務所内にわずかな専用物品を置き,同書士会の事務員による事務処理がされ,同書士会の事務用品・事務消耗品等が任意に使用され,同書士会と明確に区別されていない状況であり,強制加入団体である行政書士会と組織,会務の運営の区別がされていない点において,違法,少なくとも,妥当でないというべきであり…(引用おわり)

原告は、書士会の役員を県政連加入者が独占していることこそ、組織・会務の区別がされない根本原因であり、県政連非加入者が役員になることが不可欠だと考えている。

3 問題とする事実

(1)田辺支部総会における違法な議事運営

被告は、平成21年5月8日に田辺市内で開かれた田辺支部総会で、議長を務めた。この会議は、2年に1回の支部役員改選の会議でもある。
支部役員の選任にあたり、原告は挙手し、役員に立候補すると表明した。

ところが被告は、原告の発言をさえぎって、「立候補を認めるか、選考委員による選考にするかを多数決で決める」と言って採決を強行し、原告が支部役員に立候補する権利を侵害した。
すかさず原告が、「それなら選考委員に立候補する」と表明すると、被告は、「選考委員への立候補を認めるか、議長の指名にするかの多数決をとる」と言って採決を強行し、事前打ち合わせどおりの選考委員を指名し、原告が選考委員として役員人事に意見を述べる権利も侵害した。

さて、田辺支部規約では、支部役員の選任について、第7条で「支部長、副支部長、幹事及び会計監事は、支部個人会員の中から支部総会で選任する」と定めるだけで、具体的手続きについては何も定めていない。(甲2)

具体的な規定がないからといって、議長がその場で恣意的に決めてよいというものではない。常識的・民主的な方法をとることは、規則解釈上、議長に当然に課される義務である。会の公共的性格に照らせば、その要請は他の団体よりも一層強い。

実際のところ、被告は、平成17年5月の支部総会でも議長を務めたが、このときは出席者に対し「役員に立候補する人はありませんか」と発問した。このときは立候補者が無かったため、「選考委員による選考」という方法がとられた。

しかし、今回は役員に立候補があった以上、被告は議長として、「他に立候補はありませんか」と、議事を進行させるべき職務上の義務があった。支部会員から立候補の表明があった以上、選考よりも立候補が優先するのが当然である。

にもかかわらず被告は、原告の表明を無視し、「立候補を認めるか否か、それ自体を多数決に付す」などという議事運営をし、原告の被選挙権を不当に奪ったばかりか、選考委員として意見を述べる機会さえ奪い、原告の権利を何重にも侵害した。

「支部総会で選任する」との規則にもかかわらず、総会当日の立候補を制限し、事前打ち合わせ済みの者だけを指名する事態は、支部規則それ自体に違反する。この点、司法書士と行政書士を兼業し、初めて田辺支部総会に参加した会員は、この運営を見て「あれはおかしい。びっくりした。司法書士会では考えられないことだ」と、会議終了後の懇親会の席で原告に語った。

(2)書士会総会における違法な議事運営

被告は、平成21年5月30日に和歌山市内で開かれた書士会総会でも、議長を務めた。この会議は、2年に1回の役員改選の会議でもある。

書士会役員選任規則(甲3)によれば、会長は選挙(投票)で選ばれるが、副会長・理事・監事など、会長を除く役員は、「選考委員による選考」の方法により決められる。(第3条、30条)

では、選考委員はどのような方法で決めるかという点では、同規則は詳細な規定を置いていない。即ち、第30条によれば、選考委員の定数は15名以内であり、そのうち和歌山市支部から3名、その他の支部から各1名以上、と規定するのみである。なお、「その他の支部」とは、伊都・那賀・海南・有田・日高・田辺・新東の7支部を指す。

従って、選考委員に立候補があった場合、議長としては、他に立候補がないかを募り、ない場合には、立候補者を無条件で選考委員に就任させる義務がある。それでも定数に満たない場合、不足分についてのみ、補充的に議長指名権が認められるに過ぎないことは、同規則の解釈上も、行政書士会の公共性に照らしても、当然である。

 ところが、被告は、「他に選考委員への立候補はありませんか」との発問自体を怠ったばかりか、「選考委員への立候補を認めるか否か、それ自体を多数決に付す」という議事運営を行い、原告を排除した選考委員を指名した。

 この運営について、書士会会員および来賓の両方の立場で参加していた和歌山県司法書士会会長は、会議の途中で立ち上がり、執行部席を指差して、「こんな非民主的な運営は認められない。きょう私は来賓としても呼ばれていますが、来賓を放棄して帰ります」と宣言して、途中退席してしまったほどである。

 この種の会議で来賓といえば、団体代表として儀礼的・形式的に祝辞を述べるにとどまるのが通例であろう。しかし、ひどい横暴を直に見聞きした以上、「貴会のますますのご発展を…」などと祝辞を言うことは、良心が許さなかったものと思われる。

4 被告の言動の法的評価

 規則に詳細な規定がないのをこれ幸いとばかり、立候補を排除して自らの指名を優先させた議事運営は、「立法」と「行政」を兼任する独裁である。
被告の議事運営により、2年に1回しかない会議で、原告は役員に立候補する権利を奪われ、選考委員として役員人事に意見を述べる権利をも侵害され、大きな精神的打撃を受けた。この行為は、民法709条に照らして不法行為を構成する。

この2つの会議における損害を金銭に換算すると、金10万円は下らない。

5 被告の故意について

 原告は被告に対し、個人的に恨みを買うような覚えはない。つまり被告は書士会執行部の一員として、県政連問題などで執行部を批判する原告ら県政連非加入者を、書士会および田辺支部の役員(あるいは選考委員)から排除するという意図をもって、強引な議事運営に及んだ、と指摘せざるを得ない。

 過失により規則の解釈適用を誤った、などという生易しいものではなく、明らかな故意がある。そのことを証明する事実を最後に示しておく。

5月30日の書士会総会で被告が指名した選考委員は10名に過ぎず、規則上の定数に比して5名の“空席”があった。即ち、もし被告に原告を排除する故意がなかったのなら、打ち合わせ通りの10人に加え、原告を11人目の選考委員に指名できたはずである。

 原告は、請求の趣旨記載のとおりの判決を求め、本訴に及んだ次第である。

証拠方法
 甲1号証  大阪高裁判決文(平成20年(ネ)1189号)
 甲2号証  和歌山県行政書士会田辺支部規則
 甲3号証  和歌山県行政書士会役員選任規則

附属書類
1 訴状副本    1通
2 甲1〜3号証  各1通               以上