和歌山県行政書士会と、日本行政書士政治連盟和歌山県支部の癒着を正すため、民事裁判を起こしました。2008年3月14日、和歌山地裁田辺支部で判決が出ましたが、同28日、控訴しました。大阪高裁は、2008年11月12日、逆転一部勝訴の判決を出してくれました。
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ここに掲載したのは、判決正本(A4判35枚)をOCRソフトで読んで、テキスト化したものです。佐々木が3回読み直しましたが、なお誤字があるかもしれません。

和歌山地裁田辺支部判決 2008.3.14

平成20年3月14日判決言渡・同日原本領収裁判所書記官
平成18年(ワ)第167号債務不存在確認等請求事件
平成19年12月20日弁論終結

判決

和歌山県田辺市稲成町1074番地
原告佐々木香徳

和歌山市九番丁1番地
被告和歌山県行政書士会
同代表者会長笠野義二

和歌山市九番丁1番地
被告日本行政書士政治連盟和歌山県支部
同代表者支部長笠野義二

被告ら訴訟代理人弁護士月山純典
同上月山桂
同上藤井友彦
同上山本和正

主文

1 原告の被告和歌山県行政書士会に対する,同被告が平成18年7月13日施行した同会役員選任規則のうち,第4条,第13条3項,第14条2項, 第16条2項,第35条2項の無効確認を求める訴え及び同被告に対する同会役員選任規則を郵送による投票と立候補受付を認める内容に改正すること を求める訴えをいずれも却下する。

2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

3 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求

1 原告と被告和歌山県行政書士会との間において,同被告が平成13年7月17日施行した同会会則第18条及び別表第1に基づく会費の支払義務が月額3 000円を超えて存在しないことを確認する。

2 被告らは,原告に対し,連帯して金9万円及びこれに対する平成17年5月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3 被告和歌山県行政書士会は,原告に対し,金27万円及びこれに対する平成18年11月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告らは,原告に対し,連帯して金60万円及びこれに対する平成18年11月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

5 (1)原告と被告和歌山県行政書士会との間において,同被告が平成18年7月13日施行した同会役員選任規則のうち,第4条,第13条3項,第14条2項, 第16条2項,第35条2項が無効であることを確認する。

(2)被告和歌山県行政書士会は,同会役員選任規則を郵送による投票と立候補受付を認める内容に改正せよ。

第2 事案の概要

本件は,行政書士である原告が,被告和歌山県行政書士会(以下「被告県書士会」という。)と被告日本行政書士政治連盟和歌山県支部 (以下「被告県政連」という。)が癒着しているとして,

(1)具体的には,@被告県政連が負担すべき費用を被告県書士会が負担することで,被告県書士会の会費が実質的には 被告県政連への寄付に使用されていると解される状態にあり,違法な会費の徴収がなされている, A違法な会費の徴収及び使用により被告県政連は不当に利得し,被告県書士会は原告に損害を与えた, B被告らは原告に被告県政連への加入と会費の支払いを強要している, C被告県書士会の代表者が,会長選挙の際と会長就任後に原告の名誉を段損し,被告県政連への加入と会費の支払いを 強要しただけでなく,被告らの会員も被告県政連への加入と会費の支払いを強要した, D被告県書士会は原告を排除する目的で役員選任規則を違法に改正,施行したと主張し,

(2)請求の趣旨としては,@被告県書士会の会費の支払義務の一部不存在確認(請求の趣旨第1項), A被告県政連の不当利得の返還及び被告県書士会の行為による損害の賠償(同第2項), B支払義務のない会費を支私わされたこと及び違法な役員選任規則の改正による精神的損害の賠償(同第3項), C被告県政連への加入と会費の支払いの強要による精神的損害の賠償(同第4項), D被告県書士会の役員選任規則の改正の無効確認及び再改正(同第5項)を求めた事案である。

1 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲証拠及び弁論の全趣旨から容易に認められる事実)

【行政書士会の法的性質等】

(1)行政書士法(以下「法」という。)は,行政書士の制度を定め,その業務の適正を図ることにより,行政に関する手続の円滑な実施に寄与し,あわせ て,国民の利便に資することを目的とするところ(法1条),行政書士会は,同法上,会員の品位を保持し,その業務の改善進歩を図るため,会員の指導 及び連絡に関する事務を行うことを目的として,各都道府県に1箇ずつ設立することを義務づけられた法人である(法15条1項ないし3項)。

全国の行政書士会は日本行政書士会連合会(以下「日行連」という。)を設立することとされ,日行連は,行政書士会の会員の品位を保持し, その業務の改善進歩を図るため,行政書士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務を行い,並びに行政書士の登録に関する事務を行う ことを目的としている(法18条1項,2項)。

行政書士の業務を行うためには日行連に備える行政書士名簿への登録が必要であり(法6条),登録を受けた行政書士はその事務所の所在する 都道府県に設立された行政書士会の会員となる(法16条の5)。すなわち,行政書士会は,行政書士法に基づき設置された強制加入団体であり, 会員は行政書士事務を継続する間は脱退の自由を有しない。

(2)被告県書士会は平成18年11月末日現在373名の会員を擁し(うち2名は廃業勧告対象者),その財政は会員から納入される会費で賄われている ところ,現在の会費は同被告の会則(乙2)上月額6000円と定められており(会則18条1項,法16条6号),各会員は,毎年4月1日から9月 30日までの前期分会費,及び10月1日から3月31日までの後期分会費を,各期の開始する日の前日までにそれぞれ前納しなけれぱならない(会則 18条2項)。

会員は被告県書士会の会則を遵守しなければならず(法13条,会則57条2項),同被告は,会則に違反した会員に対し必要な処分 (訓告,1年以内の会員の権利停止,廃業勧告)を行うことができ(会則90条1項,90条の2第1項),会費滞納者に対して廃業勧告を行うときには,会費納入の 催告,綱紀委員会による業務継続の意思確認の手続を経ることとされている(会則90条の5第1項,2項)。

なお,訓告,会員の権利(総会や研修会への出席)の停止,廃業勧告といった処分があったとしても,処分を受けた 当該会員が日常の行政書士業務を行うのに支障はなく,1年以内の業務停止, 業務禁止という懲戒処分を行えるのは都道府県知事に限られる(法14条)。

【行政書士政治連盟の法的性質等】

(1)被告県政連は,政治活動を行うことを目的に日本行政書士政治連盟(以下「日政連」という。)の下部組織として政治資金規正法に基づき届出された 任意加入の政治団体であって,日政連は,日行連と連携して行政書士の社会的経済的地位の向上を期し,行政書士制度の充実・発展と行政書士の権益の 擁護を図り,行政の円滑な推進に寄与するとともに,国民の福祉に貢献するために必要な政治活動を行うことを目的として設立された権利能力なき社団 である(日本行政書士政治連盟規約(以下「本部規約」という。)3条,乙4)。

被告県政連は,本部規約5条2項に基づき設置された支部であるが,日政連の出先機関ではなく,独立した権利能力なき社団であり,被告県書士会と 連携して,行政書士の社会的経済的地位の向上,政治意識の高揚,並びに行政の円滑な推進に寄与するとともに,国民の福祉に貢献するための政治活動 を行うことを日的としている(規約3条,乙6)。

(2)日政連,被告県政連の規約には下記の事業内容が規定されている。

ア 日政連の事業内容(本部規約4条,乙4)
(ア)行政書士の社会的経済的地位の向上を期するための政治活動
(イ)行政書士制度の充実・発展を期するための政治活動
(ウ)行政書士の権益の擁護を図るための政治活動
(エ)行政の円滑な推進を図るための活動
(オ)日政連と政策協定する国会議員及び同候補者を支持応援するための政治活動
(力)支部推薦の地方議員(首長)及び同候補者を支持応援するための政治活動
(キ)会員に対する情報の提供と機関紙の発行
(ク)その他,日政連の日的達成のために必要な事業

イ 被告県政連の事業内容(規約4条,乙6)
(ア)行政書士制度の充実発展を期するための政治活動
(イ)行政の円滑な推進を期するための政治活動
(ウ)広報活動,及び機関紙の発行
(エ)関係団体との連絡協調 (オ)その他県政連の日的達成のために必要な事業

(3)被告県政連の構成員と会費

被告県政連は,被告県書士会に加入している個人会員をもって構成される組織で(規約5条,乙6),その財政は会員から徴収される会費で賄われる ところ,玩在の会費は月額400円である(規約施行細則,乙7)。

また,日政連の財政的基盤は,支部から上納される会費であり,単位行政書士会の個人会員数を基礎として1人につき1か月200円で計算される金 額を支部が会費として本部に納めている(本部規約施行細則5条,乙5)。
(4)法には,行政書士が政治連盟にも加入しなければならない旨の規定はない。

【原告について】

(1)原告は,平成14年4月2日,日行連に備え置く行政書士名簿に登録し,被告県書士会に入会した行政書士である。

(2)原告は,被告県書士会の会費について,@平成15年10月分ないし平成17年3月分と,A平成17年10月分ないし平成19年3月分をそれぞれ 滞納した(但し,@の滞納分は,平成17年4月に支払っている。)。

(3)被告県書士会は,前記(2)Aの滞納にっいて,原告に対し,業務を継続して行う意思の有無について確認するために,会則90条の5第2項に基づき, 平成18年11月28日午後3時に弁明の機会を与えたが,原告はその機会を放棄した。また,被告県書士会は,原告に対し,会則90条及び90条の 2に基づき,平成15年9月に会員の権利停止1年,平成17年11月に会員の権利停止6ヵ月の処分をそれぞれ行ったことがある。

【被告県書士会と被告県政連の関係】

被告県政連の住所,電話,代表者は,被告県書士会と同一であり,両者の役員は(一部)重複している(甲5)。

【被告県政連の被告県書士会への負担】

(1)被告県政連は,被告県書士会に対し,その活動に伴う諸費用・諸経費を,次のとおり負担金として支払ってきた。

ア事務手当金
平成14年度ないし平成16年度につき,それぞれ12万円
平成17年度につき,11万4000円(甲22の1)

イ事務所賃料
平成17年度以降,月5000円

(2)ア 被告県書士会が支払っている事務所の賃借料は,平成15年度までは月額13万5000円であったところ,被告県政連は,平成16年度までの 事務所賃借料負担金を被告県書士会に支払っていなかった。

イ 事務員給与については,被告県書士会は年額752万円を支出しているところ,被告県政連が被告県書士会に対して負担した「事務負担金(事務 手当金)」は年額12万円であった。

ウ 平成17年5月,原告が,被告県書士会の総会において,被告県書士会から被告県政連への便宜供与ないし金銭的援助は不当である旨を指摘した ところ,被告県書士会は,以後は被告県政連に事務所賃借料の一部として月額5000円を負担させると答弁した。また,被告県書士会は,原告の 指摘を受け,平成17年度以降の支出項目を細分化した。

【被告県政連への加入依頼】
被告県書士会は,同会会員に対し,被告県政連への加入を呼びかけており,その一環として,会報やホームページに被告県政連の活動記事を掲載している (甲2,4,乙20ないし22)。

【被告県書士会の役員選任規則の内容と改正】
被告県書士会の役員選任規則は,平成18年に同被告理事会の決議を経て変更されているところ,本件で問題とされている現行規則の条文の内容は概略次 のとおりである。

第4条 会長選挙についての選挙権を,現に当該総会に出席している会員に限定し,郵便等による投票を認めていない。

第13条3項 郵送等による会長への立候補の届出を認めず,和歌山市に所在の被告県書士会の事務所への書類の持参を義務づける。

第14条2項(平成18年新設) 選挙広報に掲載する候補者の所信の字数を1200字以内と制限する。

第16条2項(平成18年改正) 会長への立候補にあたっては,同被告会員10名以上の推薦を得なければならない旨規定する。なお,改 正前は,推薦者は3名とされていた。

第35条2項(平成18年新設) インターネットによる選挙運動を禁止する。

第36条6項 選挙運動のための文書配布を1回に制限する。

主要な争点

(1)被告らの癒着について(争点1)
ア被告県書士会から被告県政連への便宜供与ないし金銭的援功の有無
イ被告県政連の不当利得及び被告県書士会の不法行為の成否
ウ被告県書士会による会費徴収の違法性
エ原告の損害

(2)被告県政連への加入等の強要について(争点2)
ア被告らによる被告県政連への加入・会費支払いの強要の有無
イ被告県書士会代表者による名誉段損及び被告県政連加入等の強要の有無
ウ被告らの会員による被告県政連への加入・会費相当額の寄付強要の有無
エ原告の損害

(3)被告県書士会の役員選任規則の改正について(争点3)
ア被告県書士会の役員選任規則改正の違法性,憲法適用の可否
イ原告の損害
ウ役員選任規則改正の無効確認を求める訴えの利益の存否
エ役員選任規則の改正を求める訴えの許容性

当事者の主張

【原告の主張】

(被告らの癒着一争点1に関して)
(1)被告県書壬会から被告県政連への便宜供与ないし金銭的援助

ア 行政書士会は公的色彩の強い団体であり,各構成員が思想・信条を異にすることを当然の前提としているのに対し,政治連盟は広範な政治活動を することが予定された組織で,思想・信条が一致する者だけが加入する私的団体であって公的性格を有しない。

ところで,日政連は自民党への政治献金を続けており,被告県政連も,実態としては,自民党一党を支持し,国政・地方選挙において自民党や公 明党を応援している(甲4)。選挙における自民党の街頭演説に被告県政連が応援に行った事実は,日行連の会報に写真付きで掲載されていること からも明らかであり,同会報の記事で,「かって革新的思想が増えたが,今は自民党が過半数なのでやりやすい。」と述べるなどしている(甲3,17)。

また,被告県書士会及び日行連の会報誌,ホームページには,政治連盟の活動記事を相当の紙面を割いて紹介し,政治連盟への加入を要求 するなど,政治連盟が行政書士会の組織内組織であるかのような取扱いをしている。被告県書士会の会報でも同様であり,政治連盟への非加入者を 敵視する記事すら掲載している(甲3)。

イ 被告県政連の活動に必要な経費は,その大部分が,被告県書士会からの便宜供与という形で,被告県書士会の金銭的援助によって賄われている。 被告らは根本的に異質な団体なのであるから,その事務所も職員も別々に存在するのが憲法上あるべき姿であって,仮に両者の同居を認めるとして も,その活動形態は厳格に区別されなければならないのに,被告県書士会の場合,被告県政連に寄付をすることについての総会決議も経ておらず, 何らの法的根拠もなしに政治資金規正法の「寄附」に該当する行為を日常的に行っている。

なお,被告県書士会の会費は,他県の行政書士会のそれに比べて高く,逆に,被告県政連の会費は,他県の政治連盟のそれと比べて安い(甲6)。 これは,本来は被告県政連の会費として徴収すべき活動資金を,被告県書士会がその会費として徴収し,被告県政連のために費消していることを示 しており,被告県書士会の存在なしに被告県政連が存続できないことを推認させる事実である。

(2)被告県政連の不当利得及び被告県書士会の不法行為,被告県書士会による会費徴収の違法性

ア 以下では,被告らの費用負担について検討する。

(ア)被告県書士会の総会・被告県政連の定期大会の費用

被告県書士会と被告県政連は,毎年,被告県書士会の総会と被告県政連の定期大会を同引こ開催し,それらの終了後,被告らが主催の懇親会 を開催しているところ,それぞれに要する時間は,被告県書士会の総会が約3時間,被告県政連の定期大会が約1時間,懇親会が約2時間で, これらの開催にあたり,被告県書士会はその費用として130万円を支出し,そのうち会場借上げに要した費用は90万円であった。

被告らがそれぞれ負担すべき会場借上げ費用は,被告県書士会の総会,被告県政連の定期大会のために要した時間によって按分して求めるのが 相当であり,懇親会については被告らの共同開催なので負担割合を1対 1とするのが相当であるところ,その割合は,被告県書士会4対被告県 政連2となる。したがって,会場借上げ費用のうち,被告県書士会が負 担すべき額は60万円,被告県政連が負担すべき額は30万円となり,被告県政連は,平成14年から同18年の5年間で150万円を不当に 利得したこととなる。

また,平成14年ないし同16年度には,被告県政連の定期大会資料は,被告県書士会の総会資料と同封して郵送されたから,その郵送料に ついても,被告県政連に不当利得があることになる。

(イ)人件費
被告県書士会の幹部が「県書士会と県政連は表裏一体で車の両輪」と述べたことからすると,被告らの人件費の負担割合は1対1であるべき である。被告県書士会は,年間752万円を同会事務員の人件費として支出しているから,被告県政連が負担すべき人件費は376万円となり, これが同被告の不当利得となる。

(ウ)事務所賃借料及び光熱費
前記のとおり,被告県書士会と被告県政連の負担割合を1対1とすると,
a家賃
(a)平成14年81万円(=1,620,000÷2)
(b)平成15年81万円(同上)
(c)平成16年64万5000円(=1,290,O00÷2)
(d)平成17年57万円(=!,260,OOO÷2-60,OOO(※))
(e)平成18年28万5000円(=630,OOO÷2-30,000(※))
が各年の被告県政連の不当利得となる。
(「※」は,平成17年以降,被告県政連が年6万円を負担していることを表す。平成18年は上半期分の3万円である。)

b光熱費
例年20万円なので,毎年10万円が県政連の不当利得となる。

(エ)その他,広報誌の掲載費用,郵送料等
被告県政連は,被告県書士会の広報誌(会報)に政治連盟に関する記事を掲載しているにもかかわらず,会報の印刷・製本費用や郵送料を全 く負担していないほか,被告県政連の会議を被告県書士会の会議と同日に設定して,会員の交通費・日当を被告県書士会に負担させている。

イ 上記ア(ア)ないし(エ)を合計し,これを被告県書士会会員1人分の会費に換算すると,月額3000円となる。

ウ これに対し,被告らは,被告県政連が被告県書士会に対し応分の負担金を支払っていると主張し,その根拠として支出証ひょう書(乙12ないし 14)を提出するが,作成者の記載がないものや被告県政連ではなく被告県書士会名義となっているものがあるほか,支払方法がほとんどすべて現 金とされているなど不自然であり,また,乙第14号証に記載のある平成16年度の定期大会負担金等の支出が被告県政連の選挙管理委員会に提出 した収支報告書(甲21)に記載されていないなど不合理な点が多数あり, 被告県政連の被告県書士会に対する負担金の支出自体が疑わしい。

エ このような被告県書士会の被告県政連への支出行為は,法15条2項,会則3条の目的外行為であり,民法43条に違反し無効である。そして, 被告県書士会が,被告県政連に加入していない原告に対し,被告県政連への加入者と同額の会費の支払いを求め,同被告に加入しながら会費を支払 わない者として扱っていることは,同被告が行う政治活動への献金を強要 することにほかならず,原告の思想・信条の自由を侵害する行為であり,憲法19条,民法90条に違反し無効である。

しかるに,被告県書士会は,原告に対し,平成17年10月分から平成18年9月分の未払会費7万2000円を支払うよう請求し,これに応じ ない場合は原告に対し会員権停止処分や廃業勧告を行うと通告したが(甲10),原告には月額3000円を超えて被告県書士会の会費を支払う義 務がない。

オ 原告は,被告県書土会に対し,平成14年4月分から平成17年9月分まで42か月分の会費合計25万2000円を支払った。しかしながら, 前記のとおり,原告が被告県書士会に対し本来支払うべき会費は,平成14年4月分から平成18年9月分までの54か月分で16万2000円に とどまるから,その差額9万円が被告県政連が得た不当利得であり,被告県書士会の行為により原告が被った損害ということになる。そして,被告 県政連に対し金銭的援助を与えることを決定・実行したのは被告県書士会であると考えられるところ,この援助行為は刑法上の業務上横領または背 任を構成するほどの違法性を帯びており,結果的に,原告の財産権を侵害するものであって,原告に対する不法行為となる。

カ ところで,被告県政連に被告県書士会に対する不当利得が認められたとしても,両被告の会計が事実上同一であれば,被告県政連が被告県書士会 に対して不当利得を返還したところで実効性はなく,著しく正義に反する。
被告県書士会から被告県政連への便宜供与を違法とすれば,これは不法原因給付(民法708条)に該当するが,同条の立法趣旨からして,被告県 書士会を救済する必要はないし,逆に被告県政連が「もらい得」なのでは著しく正義に反する。そこで,条理により,被告県政連の不当利得は,そ の原資の出資者たる原告に返還されるべきである。

キ なお,原告は,平成17年5月25日に開催された被告県書士会の総会において,上記のような被告県書士会の被告県政連への便宜供与・金銭的 援助が不当である旨主張した。したがって,遅くとも同日以降は,被告県政連は悪意の受益者といえる。

(3)原告の損害
原告は,日政連の運動方針に賛同していないのに,被告県書士会に対し義務なき会費を支払わされ,それが被告県政連の活動に使用されたことで自己 の意思に反する政治活動に組み込まれ,精神的苦痛を受けた。被告県書士会が最高裁平成8年判決(税理士会政治献金事件)を無視して,総会による議 決も経ずに被告県政連に対し義務なき寄付を継続していることには故意または重大な過失があり,原告の精神的損害に対する賠償としては,26万円が 相当である。

(被告県政連への加入等の強要一争点2に関して)

(1)被告らによる被告県政連への加入・会費支払いの強要

ア 原告は,平成14年4月の被告県書士会への新規入会面接の際,被告県政連への加入を断っており,その会員ではないにもかかわらず,被告ら, または被告らの事務員らは,原告に対し,原告が被告県政連の会員でないことを知っているのに,原告が「県政連会員の身分を有しながら会費を滞納 している者」であるかのように偽って,会費請求書(甲13)を,最初は被告県書士会の書類と同封して,また同封を止めた後は直接送付する 形で送付し続けた。たとえ請求書の文言が「依頼」,「お願い」等となっていたとしても,支払義務を負わない原告に対し何度も請求書を送りつける 行為自体が刑法の強要罪に類似した行為であり,被告らによる原告への無言の威迫行為であって,不法行為となる(仮にこれが被告らの事務員らの 独断による行為であった場合にも,被告らは使用者責任を負う。)。

イ また,被告県政連またはその事務員らは,原告に対し,同被告の定期大会の資料を3回以上も送付しており,それ以外にも,国政選挙が近づくと, 特定政党・候補者への投票依頼のファックスを複数回送付している。これらの行為から明らかなのは,被告らが「県書士会会員すなわち県政連会 員」という同時入退会を当然の前提とし,「行政書士会に入った以上,政治連盟にも入ったものとみなし,政連会員としての義務を果たさないこと は許さない」との姿勢で原告に対処してきたことである。この行為も原告に対する不法行為となる(使用者責任に関しては上記アと同様である。)。

(2)被告県書士会代表者による名誉段損及び被告県政連加入等の強要

ア 被告らの役員であった笠野義二(以下「笠野」という。)は,平成17年の被告県書士会の会長選挙の所信表明において,会長選挙の対立候補で あった原告が被告県政連の会費を支払っていないことを他の被告県書士会の会員に分かるような形で述べて,原告を誹謗し,その名誉を段損した。
すなわち,原告は会長選挙の公約の中で被告県政連に加入していないことを明言し,その公約は平成17年5月上旬に被告県書士会の全会員に配達 されていたところ,笠野は,原告のことを念頭に置いて,実際には被告県政連の会費滞納者が100名を超えるにもかかわらず,これを読んだ被告 県書士会の会員に原告のことだと分からせるようにして,原告個人を政撃する意図をもって,敢えて「数名が政連会費を拒否している」と所信に 書いている(甲14)。

イ また,笠野は,被告県書士会の会長及び被告県政連支部長への就任後も上記アと同様の発言を繰り返し,原告の名誉を穀損した。
ウ さらに,笠野は,被告県書士会会長への就任挨拶(甲16)において,「会員諸氏にはその辺をご理解いただき,月400円,年間4800円を お支払いただきたい。約80%強の会員諸氏が文句を言わず支払っていただいております。」と述べたが,これは被告県政連の会費支払いの強要に 当たる。

エ 上記アないしウについては,民法709条,44条1項,719条,723条により,被告らも不法行為責任を負うべきである。

(3)被告らの会員による被告県政連への加入・会費相当額の寄付強要

平成17年5月25日,被告県書士会綱紀委員会副委員長兼被告県政連副支部長であった山西一男(以下「山西」という。),被告県書士会綱紀委員会 副会長兼被告県政連会員であつた河野重則」(以下「河野」という。)及び被告らの会員1名は,ダイワロイネットホテル内ロビーにおいて,1時間近く にわたり,原告に対し被告県政連への加入を強要し,また,被告県政連への加入を拒むのであればその会費相当額を寄付するように強要した。
この行為は,被告らの業務執行としてなされたものであるから,被告らは使用者責任を負う。

(4)原告の損害
原告は,被告らの上記(1),(2)及び(3)の共同不法行為により,精神的苦痛を受けた。これらの損害の賠償としては,各々30万円が相当である。

(被告県書士会の役員選任規則の改正一争点3に関して)

(1)被告県書士会の役員選任規則改正の違法性,憲法適用の可否

ア 平成18年に改正された被告県書土会の役員選任規則は,次のとおり,いずれも憲法に反している。

(ア)同規則4条は会長選挙の選挙権を現に当該総会に出席している会員に限定し,郵便等による投票を認めていない。これは遠方の会員から投票 の機会を奪うものであり,憲法14条に反する。

(イ)同規則13条3項は郵送等による立候補の届出を認めず,和歌山市内の県書士会事務所まで立候補書類を持参することを義務づけているが, これも遠方の会員に不利な規定であり,憲法14条に反する。

(ウ)同規則14条2項は立候補所信を1200字以内と制限しているが,これは選挙活動に対する不当な制限である。

(エ)同規則16条2項は立候補には最低10名の推薦者を必要とする旨規定しており,これは東京都行政書士会と同様の内容であるが,和歌山と 東京では会員数に大きな隔たりがあり,和歌山において東京と同じ要件を定めるのは合理性を欠く。

(オ)同規則35条2項はインターネットによる選挙運動を禁止する旨規定しており,その内容として,ウェブサイト(ホームページ)上での選挙 運動を禁止するのみならず,会員個人に対する電子メールによる投票依頼をも禁止していると解されるが,これは憲法21条に反する。

(カ)同規則35条6項は選挙運動のための文書配布を1回に隈る旨の規定であり,選挙活動に対する不当な制限である。

イ 上記ア(ア)ないし(カ)の改正は,会員の権利を大幅に制限するもので,憲法や公職選挙法の精神に反しており,具体的には憲法14条,21条,98 条1項,81条に反する。行政書士会は極めて公的色彩の強い団体であり,個々の行政書士にとっては監督官庁や権力機構そのものであるから,その ような団体の選挙規則には憲法が適用されるべきである。

(2)原告の損害

前記規則の改正は,原告が前記会長選挙に立候補し,当時の執行部を批判したことに対する報復として,次期会長選挙に原告が立候補することを妨害 することを目的としてなされたものであり,これによって原告は精神的苦痛を受けた。この損害の賠償としては1万円が相当である。

(3)役員選任規則改正の無効確認を求める訴えの利益の存否

原告としては,この無効が確認されれぱ損害賠償請求が認められることに繋がるので,確認の利益がある。なお,そもそも被告の本案前の抗弁は時機 に遅れた防御方法であるから,却下されるべきである。

(4)役員選任規則の改正を求める訴えの許容性

原告は,被告県書士会に対し,平成17年5月25日の総会における尾崎剛前会長の答弁を根拠として,同規則4条,13条を改正して,郵送による 投票と立候補受付を認めることを求める。尾崎前会長が被告県書士会の最高機関たる総会で会員に約束したということは,同被告が法的に債務を負った ということであり,笠野新会長は,尾崎前会長の答弁に拘束されるので,原告は,会員の1人として,その履行を求めるものである。なお,被告の本案 前の抗弁が時機に遅れていることは前記(3)と同様である。

【被告らの主張】

(被告らの癒着一争点1に関して)

(1)被告らの活動内容と両者の関係等
ア 日政連も被告県政連も,特定の思想・信条を持つ者だけが加入する団体ではない。前提事実にあるように,政治連盟の事業はあくまで行政書士全 体の権益の擁護,行政書士制度そのものの充実を図ることを目的とし,特定の思想・信条が一致する者が集まる組織ではないし,特定の政党を支援 する組織でもない。

政策協定(乙9)の内容も,@行政書士法改正のために努力すること,A行政書士の社会的,経済的地位向上のために尽力すること,B行政書士 の業務分野の確立のために関係業界,関係官公署との調整を行うこと,となっており,本部規約4条6号の「首長」も,行政書士の資格を有する音 長や各都道府県や行政書士会の顧問等の地位にある者を意味し,特定の思想・信条を有する者や特定の政党に属する者を指すものではない。

また,「政治活動」も,具体的には,選挙に際して,日政連または被告県政連として推薦状を交付する,選挙事務所開きに出席する程度であり,日政連は もちろん,被告県政連も特定の政党に対して政治献金を行ったことは一度もない。政治資金規正法上の届出を行っているのは,特定の候補者を推薦 し,支持することがあるからに過ぎない。

イ 平成18年11月末日現在で,被告県政連に対して同年度の会費を納入した者は247名である。すなわち,100名を超える会員が県政連への 会費を納入していないのが実情である。

ウ 被告県政連の日常の業務と活動内容は,次の(ア)ないし(オ)にほぼ尽きるので,事務量としては微少である。

(ア)年に一度の大会の開催とその招集手続
(イ)年に4回前後の幹事会の開催とその招集手続
(ウ)会員に対する会費の請求
(エ)収入と支出の予算と決算
(オ)選挙に際しての推薦状の交付,候補者の事務所開きへの出席

(2)被告県書士会と被告県政連の活動経費の峻別

ア 被告らも,両者の活動目的が異なることから,これまで,その峻別には注意を払ってきた。被告県政連は,乙第11号証の1ないし4に記載して いるとおり,平成14年度から同17年度において,その会費収入から毎年50ないし90万円を経費として支出している(但し,日政連への会費, 未納会費の雑損処理を除く。)。経費の内訳は,通信費,印刷費,事務費等であり,事務費については,事務員2名が被告らの事務員を兼任している ので,被告県政連の負担分を事務手当金として支出している。

(ア) 定期大会費用について

a 被告県書土会は昭和46年12月に設立され,昭和57年2月に被告県政連が設立される以前から,ホテルや旅館等で総会を行い,総会 終了後には懇親会(飲食)を行ってきた。被告県政連設立後は,被告県書士会の総会(3時間ほど)の終了後に引き続き被告県政連の定期 大会(50分ほど)を行い,その後に懇親会を行ってきた。同じ日に総会と定期大会を行ったのは,被告県政連会員はすべて書士会会員で あり,その利便を考えたためである。

懇親会は,被告県政連設立前からと同様に,被告県書士会の主催であり,仮に被告県書士会の総会と被告県政連の定期大会が異なる日に 行われる場合,被告県書士会が被告県政連の懇親会費を負担することはない。

b 平成14年度の費用
ホテルアバローム紀の国で開催され,総会・懇親会費用(以下同)の総額が72万3114円,そのうちの会議費は15万0160円で, 5万円を被告県政連が負担した(乙12の1)。

c 平成15年度の費用
華月殿で開催され,費用の総額が78万7738円,そのうちの会議費は8万9130円で,被告県政連は5万円を負担した(乙13の1)。

d 平成16年度の費用
吾妻屋シーサイドホテルで開催され,費用の総額が76万0901円,そのうちの室料は2万円で,被告県政連は4万円を負担した(乙14)。

e 平成17年度の費用
ダイワロイネットホテルで開催され,費用の総額が96万8222円,そのうちの会議費は17万2200円で,被告県政連は5万円を負担した(乙15の1)。

(イ)事務所賃料,光熱費
平成16年度以前に被告県政連がその負担を検討しなかったのは,被告県書士会が賃借している事務所部分(事務所の容積約212.80立 方メートル)に対し,被告県政連の占有部分(O.2立方メートル)が極めて微少だったからである。

その後,原告の指摘を受けてこれを見直し,被告県書士会の事務所に関する経費の額(賃料月額10万円,同共益費5000円,光熱費毎月 平均1万5000円)に鑑み,前記被告県政連の占有部分を考慮して,同被告の負担金を月額5000円と定めたものであり,この負担金月額 5000円には同被告が負担すべき光熱費も含んでいる。

(ウ)広報誌,印刷送付費
被告県政連は,被告県書士会に対し,次のとおり,広報誌に関する会費負担金,印刷送付費としてコピー用紙代,郵送料を支払っている。

a 平成14年度及び同15年度
コピー用紙代 各1万円(乙一12の2,13の2)

b 平成16年度
.郵送料1万円(乙14)
コピー用紙代1万円(乙14)
c 平成17年度
コピー用紙代8530円(乙15の2及び3)
会報負担金1万1254円(乙15の4)
なお,被告県政連が被告県書士会の広報誌に掲載したぺ一ジ数は平成 14年度から同17年度にかけて各1頁あるかないかという程度に過ぎ ない。

イ 原告の主張は,被告県政連の事務量が膨大であり,被告県書士会の事務 量に匹敵することを前提としているが、これには何の根拠もない。むしろ, 被告県政連の事務量は極めて限定されている。このことは,乙第3号証, 第8号証の組織図からも明らかである。原告は,被告県書士会の会費が不 当に高く,被告県政連の会費が不当に安いと主張するが,原告提出の甲第 6号証によってもそのような事実は窺われないし,そもそも,被告らの会 費の額は,被告らそれぞれの会員の総意により決定されたものであるから, 原告の個人的な感想ないし意見によって左右される筋合いはない。

ウ 前記のとおり,被告県政連は,被告県書士会に対し,応分の負担をして きたし,今後も負担していく予定である。したがって,被告県政連に不当 利得は存在しない。そして,被告県政連に不当利得は存在しないのである から,被告県書士会も何ら違法行為を行っていないことになり,何ら原告 に対する不法行為とならない。

仮に,被告県書士会の被告県政連に対する事務所賃料や人件費の負担が 民法43条に反して無効となるとしても,無効の対象となるのは,その賃 料の支払,人件費の支払等の支出行為なのであって,これが被告県書士会 の会費徴収規定の無効に繋がることはあり得ない。

また,被告県書士会の会費は,一般会費として被告県書士会の諸事務の 遂行上必要な月額6000円を徴収することだけを定めているに過ぎない から,この規定が憲法19条や民法90条に反しないことは明らかである。
たとえ被告県政連に不当利得が存在したとしても,そのことが,被告県 書士会が原告の思想・信条に反する思想の表明を強要したり,原告の意思 に反して被告県政連への負担のために必要な金員の拠出を義務づけること はなく,原告の被告県書士会への会費支払いと同被告の支出との間には直 接の結びつきも認められないから,同被告の会費徴収規定が無効となる理 由はない。

さらに,仮に,被告県政連に不当利得が存在したとしても,その返還を 請求できるのは,原告ではなく,被告県書士会なのであり,原告の主張に は法的根拠がない。

(被告県政連への加入等の強要一争点2に関して)

(1)被告県政連への加入依頼について

被告県政連は強制加入団体ではないため,被告らは,原告を含めた被告県 書士会の会員に対して,被告県政連への加入及び会費納入を勧誘したことは あるが,強要したことはない。
被告県書士会が,その会員に対して,被告県政連への加入や会費の納入の お願いをしていることは認めるが,強要はしていない。甲第13号証の文面 を見ても,「依頼」,「ご理解ご協力を宜しくお願い申し上げます。」となって おり,これが依頼文であることは明らかであり,威迫などではない。

そもそも,被告県政連の規約によると,その会員には何らの義務はない。 会費については,定期大会での決議事項とされており,現在月400円と定 められているが,これを滞納したとしてち何らの制裁も規定されていないし, 今後もこれを強制的に徴収することなどあり得ない。

(2)笠野の所信表明等について

平成17年の被告県書士会の会長選挙において,笠野が甲第14号証の所 信を行ったこと,原告が甲第11号証の所信を行い,甲第12号証の質問用 紙を提出したことは認める。しかし,笠野は,原告だと特定できるように意 図的に甲第14号証を書いたことなどない。被告県書士会の会員は380名 超もいるのであり,その大半は,原告が被告県政連の会費を払っていないと いうことなど知るよしもない。また,原告が,その所信において,自分が被 告県政連に加入していないことを公言していたのなら,笠野が,原告が被告 県政連の会費を納めていないことを指摘したとしても原告の名誉を毀損した ことにはならない。

笠野は,被告県書士会の一会員として所信を述べたに過ぎないから,笠野 の所信表明によって被告県書士会が不法行為責任を負うことはないし,笠野 が,会長就任後に同様のことを繰り返し述ぺたという事実はない。

原告が,同選挙において4票を獲得し,笠野が84票を獲得したことは認 める。上記会長選挙における原告の得票数4票を予想外の批判票と捉えるの は原告の自由だが,そのような選挙結果から被告が組織的に強要行為に及ぶ はずがない。

なお,甲第9号証において,被告らの会員数が一致しているのは,被告県 政連の会員数が会費を納入したか否かによって年ごとに変動を来すことから 便宜上同数にしているだけであり,このことが直ちに「県政連に加入しない ことや,途中で脱退することを認めないという扱いに固執」しているという 評価に繋がるものではない。

(3)河野らによる原告に対する被告県政連への加入依頼について

河野が原告に対し,被告県政連への加入を勧誘したことは事実であるが, あくまでも加入をお願いしたに過ぎない。被告らの関係者が原告を取り囲ん で被告県政連の会費分を寄付せよなどと要求することなどあり得ないし,そ のような事実もない。
河野は,当日,被告県政連の定期大会の司会を務めていたことから,会場 外のロビーで長時間にわたり延々と原告を取り囲むことなどできなかったし, 山西は,定期大会に先立って原告との間でトラブルを生じていたことから, 原告と関わり合いを持つなどあり得ない状態であった。

(被告県書士会の役員選任規則の改正一争点3に関して)

(1)被告県書士会役員選任規則の改正の合理性,憲法の適用の可否

ア 結社の自由には,各団体が自らの内部において守るべき規範を自ら定立 する自由も含まれているところ,被告県書士会の役員選任規則の改正は, その目的,内容ともに,下記のとおり,合理性がある。

(ア)規則4条及び13条3項において郵便による選挙権の行使と立候補 の届出を認めていないのは,会長選挙が法16条の4によって行政書士 会を代表し,その会務を総理する等の量責を担う者を選任することから, 本人出席を要請したものであり,また,会長に選任され重責を担うこと となった場合,その会務を行う場所が被告県書士会の事務所となる以上, そこに届け出ることは何ら困難ではないはずだからである。

(イ)同規則14条2項は,選挙広報での所信は無制限とされていた一方で, 選挙管理委員会に届ける所信が400字詰め原稿用紙2枚以内とされて おり,整合性に欠け,混乱が生じていたために,いずれも1200字以 内に統一したものである。

(ウ)同規則16条2項は,ある程度の会員からの支持がある者だけに立候補を絞ることによって無責任な立候補を防ぐための規定である。

(エ)同規則35条2項は,被告県書士会の役員選挙は県内の行政書士たる 会員のみが選挙権を有することから,会員以外の者にもアクセス可能な インターネットによる活動を認める必要性がないことを踏まえ,これに よる対立候補者に対する誹謗中傷を防ぐための規定である。

(オ)同規則35条6項が文書等の配布を1回に制限しているのは,無用な 争いを継続する必要はないからである。

以上のとおり,上記各条項ともに,その目的・内容には合理性があり, これらの条項によって立候補の自由,投票の自由が実質的に阻害されると いう事態はあり得ない。

イ なお,憲法の規定が私人たる被告県書士会に直接適用されることはなく, 同被告が定めた規則が憲法違反を理由に無効となることはない。

(2)原告の損害について

上記役員選任規則の改正は,被告県書士会が,法や会則等の定める手続に 則り,同被告の理事会において審議し,その議決を経て実施したものである から,これが原告に対する報復や嫌がらせでないことは明らかである。

(3)役員選任規則改正の無効確認を求める訴えの利益の存否,同規則の改正を 求める訴えの許容性

ア 被告県書士会役員選任規則4条,13条3項,14条2項,16条2項, 35条2項の無効確認を求める訴え及び同規則の改正を求める訴えについ ては,具体的な権利関係その他法律関係の存否の主張といえず,訴えの利 益がないので,訴えの却下を求める。(本案前の抗弁)

イなお,尾崎前会長は,郵送による立候補受付と郵便投票を認める旨を約束してはいない。そもそも,役員選任規則は,被告県書士会の理事会決議 事項であるから,会長の一存では変更できない。

第3 当裁判所の判断

1請求の趣旨第1項について

(1)原告は,被告県書士会による被告県政連への支出行為が民法43条に反し 違法であるのみならず,原告の思想・信条の自由を侵害する違憲行為であり, 憲法19条,民法90条に違反し,無効であると主張し,これを理由として, 被告県書士会会則18条及び別表第1が会費を月6000円と定めるうち, 3000円の部分は無効であるとして,原告と被告県書士会との間において, 会費の支払義務が月3000円を超えて存在しないことの確認を求めている。 この請求に関しては,争点1が問題となるので,以下で検討する。

(2)まず,原告の主張するように,被告県書士会の被告県政連への支出行為が 違法であるとしても,違法とされ,無効となるのは,あくまで当該支出行為 自体であって,一般会費の徴収につき規定しているにとどまり,特定の政治 団体への寄付のために会費を徴収する旨を規定していない被告県書士会の会 則及び別表の定めが直ちに無効になるものではない。原告の主張するように 被告県政連の負担すべきものを被告県書士会が負担する結果が生じていると しても,これは被告県書士会の会則等による効果ではなく,また,被告県書 士会が原告にその意に反する思想の表明を強要したりしたわけでもないので, 直ちに会則等の無効を来す事由とはならない。この点で,原告の主張は失当 である。

(3)しかも,実際に被告県政連に不当利得があるとは認め難い。
すなわち,二つの組織があるとき,事務所の場所や人員を截然と分けるの が望ましいことはいうまでもなく,被告県書士会が強制加入団体であること から,その有志らで組織された被告県政連との関係は,原則として,できる 限り経済的にも人的にも明確に区別されるべきであるが,現実にはそこまで できないことも当然あり得る事態であって,そのような場合には,両者の事 務量等に応じた費用負担がなされているかどうかを検討すべきところ,次の とおり,被告県政連は被告県書士会に対し負担金という名目で経費の支払い をしており,その事務の実情に照らし,その金額等が不当に少ないとはいえ ない。

ア事務所の賃料及び光熱費

被告県政連は平成17年4月以降毎月5000円を支払っているところ (前提事実),被告県書士会が賃借している事務所内で被告県政連の占有 している部分は小さく,また,同所で行う事務も,@年1回の大会の開催 招集の準備,A年4回前後の幹事会の開催招集の準備,B会員に対する会 費請求,C会計,D選挙の際の推薦状等の準備といったものにほぼ尽き, 事務量が少ないので(証人高川,弁論の全趣旨),負担額が不当に少ない とはいえない。

イ事務員の給与

被告県政連は各年度に11万4000円ないし12万円を支払っている ところ(前提事実),前記のような事務の量,内容,所要時間等を総合的 に考慮すれば,この負担額が不当に少ないと直ちにいえるものではない。

ウ定期大会費用

被告県政連は平成14年度,平成15年度には各5万円(乙12の1, 13の1)を,平成16年度には4万円(乙14)を、平成17年度には 5万4220円(乙15の1)を支払っているところ,被告県書士会の総 会及び懇親会の費用が平成14年度は72万3114円(会議のための費 用15万円を含む。),平成15年度は78万7738円(会議のための費 用8万9130円を含む。),平成16年度は76万0901円(室料2万 円を含む。),平成17年度は96万8222円(会議のための費用17万 2200円を含む。)であり(乙16ないし19),会場の利用時間として は,被告県書士会が3時間前後であるのに対し,被告県政連は50分前後 で,その後の懇親会は被告県書士会が主催していること(証人高川,弁論 の全趣旨)に鑑みると,前記負担額が不当に少ないとはいえない。

エ コピー機使用料

被告県政連は平成14ないし16年度には毎年1万円を,平成17年度 には8530円を支払っているところ(乙12の2,13の2,14,1 5の2・3),前記事務の量から推認される枚数からすれば,これが不当 に少ないとはいえない。

これに対し,原告は,被告県政連の被告県書士会に対する負担金支払いに 関する支出証ひょう書(乙12ないし15)は内容が虚偽である疑いがあり, その他の書類と対照すると齟齬や不合理な点があるなどとして,被告県政連 の被告県書士会に対する負担金の支払いの事実を争う。
しかし,証拠(甲1 9ないし22,乙12ないし14,証人高川)及び弁論の全趣旨によれば, 前記支出証ひょう書の用紙について被告県書士会の用紙を流用していること や,一部に支払方法が記載されていないものがあることは認められるものの, その内容が虚偽であると疑うに足りるほどの事情は認められず,これを収支 報告書(甲19ないし21)と対照しても,その内容が不合理で虚偽である とまでいうことはできない。したがって,前掲各証拠及び弁論の全趣旨から, 被告県政連が被告県書士会に被告ら主張の負担金を支払ったことが優に認め られるというべきである。

(4)以上によれば,被告県政連は相当と認められるべき範囲で費用を負担して おり,少なくとも不当に利得しているとはいえないので,被告県書士会が徴 収している会費の一部が被告県政連に寄付されていると評価すべき事実関係 は認められない。これに対し,種々の算定を試みる原告の主張は独自の見解 であって,しかも,この見解に沿った金額が支払われない限りは違法とする もので,妥当とはいえない。
また,支出行為そのものと会則等の関係からしても,原告の主張は失当で ある。
したがって,争点1に関する原告の主張は採用することができず,請求の 趣旨第1項に係る原告の請求は理由がない。

2請求の趣旨第2項について

(1)原告は,被告県政連が9万円を不当に利得し,原告が被告県書士会の総会 で利得の不法性を主張した日から悪意の受益者であると主張して,同被告に 対し,不当利得返還請求として,9万円及びこれに対する前同日からの法定 利息の支払いを求めるとともに,被告県書士会の行為も違法であったと主張 して,同被告に対し,不法行為による損害賠償請求として,9万円及びこれ に対する前同日からの遅延損害金の支払いを求めている。この請求に関して も,争点1が問題となるので,以下で検討する。

(2)まず,被告県政連に対する請求について検討するに,原告の請求は,被告 県書土会に代わって被告県政連から不当利得の返還を受けようとするもので あるが,原告の主張するように被告県政連に不当利得が成立するとしても, これに対応する損失を受けるのは被告県書士会であって原告ではないから, 原告が利得の返還を求める理由は見出せない。この点で,原告の主張は失当 である。

しかも,被告県政連にっいて,被告県書士会から便宜供与や金銭的援由を 受けたりしたという利得の認められないことは前記判示のとおりであるから (前記1(3)),この点でも原告の主張は理由がない。

(3)次いで,被告県書士会に対する請求について検討すると,原告の請求は, 被告県政連の不当利得に加担したことをもって被告県書士会に不法行為の成 立が認められることを理由とするものであるところ,前記のとおり,被告県 政連に不当利得が成立しない以上,その余の点を検討するまでもなく,被告 県書士会について不法行為は成立しない。原告の主張には理由がない。

(4)以上によれば,争点1に関する原告の主張は採用することができず,請求 の趣旨第2項に係る原告の請求も理由がない。

3 請求の趣旨第3項について

(1)原告は,被告県書士会が平成8年以降被告県政連に対する議決なき寄付を 継続したことで26万円相当の精神的損害を被り,また,被告県書士会が役 員選任規則を不当に改正したことで1万円相当の精神的損害を被ったと主張 して,それらの合計27万円の損害賠償を求めている。この請求に関しては, 争点1及び3が問題となるので,以下で検討する。

(2)まず,議決なき寄付が継続されていたという主張について検討するに,被 告県書士会から被告県政連に寄付がされていたと評価すべき事実関係が認め られないことは前記判示のとおりであるから(前記1(3)),その余の点を検 討するまでもなく,原告の主張には理由がない。

(3)次いで,役員選任規則の改正について検討する。

ア 被告県書士会の役員選任規則改正の内容と,その趣旨として被告県書士 会の説明するところを併記すると,次のとおりである。

(ア)4条,13条3項
4条は,会長選任選挙において,選挙権を行使できる者を,現に当該 総会に出席している会員に限る規定であり・13条3項は,会長の立候補及び推薦届出について,郵送でなく直接選挙管理委員会へ届けること を定めている規定である。 これは,被告県書士会の会長職が,同被告を代表し,その会務を総理 する(法16条の4)という重責を担うため,そのような者を選任する 選挙では,より慎重を期すべく,直接投票を要求し,その立候補及び推 薦届出についても会長の会務を行う場所(被告県書士会の事務所)への 本人の出頭を要請したものである。

(イ)14条2項
14条2項は,従前は,選挙公報での所信が無制限となっていた一方 で,選挙管理委員会に届け出る所信が400字詰め原稿用紙2枚以内と されていたのをいずれも1200字以内としたものである。 これは,整合性に欠けており,混乱を生じていたのを是正したもので ある。

(ウ)16条2項
16条2項は,会長に立候補するには,被告県書士会会員の1O名以 上の推薦が必要であることを定める規定である。 これは,ある程度の人数の会員に支持される者に立候補者を絞ること により,泡沫候補の無責任な立候補を防ぐためである。

(エ)35条2項
35条2項は,インターネットによる選挙運動を禁止する規定である。 これは,そもそも,被告県書士会の役員選挙は和歌山県内の行政書士 たる会員のみが選挙権を有しているので,会員以外の者がアクセス可能 なインターネットによる活動を認める必要がない上,かえって,インタ ーネット上で相手候補に対する誹謗中傷がなされるといった弊害も予想 されることから,これを防ぐためである。

イ そこで,検討するに,被告県書士会は自律的規範を有する団体であって, 特段の事情のない限り,同被告の規則については,自治的,自律的な決定 を尊重すべきであって,憲法が直接に適用されるものではなく,その趣旨 を踏まえて規則改正の在り方を検討することが求められるところ,同被告 の役員選任規則の改正は,法と会則の定める諸手続に則り理事会において 審議された結果,その議決を経て定められたものであ.り(乙2,10,弁 論の全趣旨),その内容も,前記のような改正の趣旨に鑑みると,直ちに 不当というべきものではないから,これを違法な行為と評価することはで きない。

この点に関して,原告は自分の立候補を封じるために前記改正を した旨を主張,供述するが,そのような経緯,目的を認めるに足りる的確 な裏付けはなく,前記改正の趣旨に関する同被告の説明に照らし,原告の 主張,供述は採用することができない。
したがって,原告の主張は,その余の点を検討するまでもなく,理由が ない。

(4)以上によれば,争点1及び3に関する原告の主張は採用することができず, 請求の趣旨第3項に係る原告の請求も理由がない。

4 請求の趣旨第4項について

(1)原告は,被告らが書類を送付することで被告県政連への加入等を強要した ことが不法行為に当たり,さらに,笠野による原告に対する名誉毀損等及び 山西らによる被告県政連加入等の強要について被告らが不法行為責任を負う と主張し,それらの損害賠償として合計60万円の支払いを求めている。こ の請求に関しては,争点2が問題となるので,以下で検討する。

(2)まず,笠野による原告に対する名誉段損等の主張について検討する。

ア そもそも,笠野は,被告県書士会の一会員として所信を述べ,その中で 被告県政連の会費の不払いのことに言及したに過ぎないところ(弁論の全 趣旨),そうであれば,その発言につき責任を問われることがあり得るの は笠野自身であって被告県書士会ではないから,笠野の発言について直ち に被告県書士会に法的責任を問う原告の主張はそれ自体失当である。なお, 笠野が被告県書士会の会長に就任した後に原告の名誉を段損する内容の発 言を繰り返したことを認めるに足りる的確な証拠はない。

イ また,笠野の発言自体をみても,原告に対する名誉毀損とされるべき内 容であるとは認められない。すなわち,笠野の発言は甲第14号証に記載 されているが,これは直ちに原告のことと特定できるような記載内容では ないし,原告において自分が被告県政連に加入していないことを公言して いる以上は(甲11),たとえ笠野の発言が原告が被告県政連の会費を支 払っていないことを連想させたとしても,笠野の発言が原告の前記公言を 知る者の間で流布される限り,その社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものとはいえず,それ以上に前記発言が流布されたことを示す証拠 はない。

(3)次いで,被告県政連への加入等の強要という主張について検討するに,こ の主張に沿う原告の供述は,被告らの役員ないし会員である山西及び河野ら 数人に取り囲まれたというものであるところ,同供述は,当日は被告県政連 の定期大会の司会をしていたので,少しの間勧誘の話をしただけである旨の 証人河野の証言に照らし,たやすく採用することができず,ほかに原告に対 する強要という事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
さらに,原告は度重なる書類の送付が強要に当たると主張,供述するが, それらの文面をみると,「(依頼)」,「事情ご賢察くださり,ご理解ご協力を 宜しくお願い申し上げます。」などというものであって(甲13),このよう な文書を数回送付されてきたことが直ちに強要と評価されるものではない。

(4)以上によれぱ,争点2に関する原告の主張は採用することができず,その 余の点を検討するまでもなく,請求の趣旨第4項に係る原告の請求も理由が ない。

5 請求の趣旨第5項について

(1)原告は,被告県書士会の役員選任規則の改正が違法であるとして,その無 効確認を求めるとともに,その再改正を求めているのに対し,同被告は,本 案前の抗弁として,これらの訴えはいずれも具体的な権利ないし法律関係の 主張とはいえず,また,確認の訴えは原告と同被告の間の法律関係の解決に 有効適切ではないので,却下されるべきである旨主張している。

(2)請求の趣旨第5項(1)に係る原告の訴えは,同第3項に係る訴えにおける損 害賠償請求の前提として,被告県書士会に公共性があり,その内規に憲法が 直接適用されるという見解に基づき,別途,同被告の役員選任規則の改正が 無効であることの確認を求めるものであるが,たとえ被告県書士会に公共性 があるとしても,直ちに憲法が直接適用されることになるものではなく,憲 法を根拠として一般的,抽象的に役員選任規則の改正の有効無効を審査する よう求める訴えは,具体的な権利ないし法律関係の主張があるとはいえず, また,これらに直ちに影響を与えるものではないから,紛争の解決には有効 適切でないというべきであって,このような訴えは不適法である。

また,請求の趣旨第5項(2)に係る訴えにおいて,原告は,被告県書士会の 公共性等から憲法が直接適用されるべきことを主張し,また,総会における 会長の答弁を理由として,その再改正を義務づけることを求めているが,被 告県書士会に公共性があるとしても,直ちに憲法が直接適用されるものでは ない上,役員選任規則の改正は同被告の理事会の権限であり,総会での会長 らの答弁により同被告と原告との間に役員選任規則の改正をめぐって具体的 な権利義務ないし法律関係が発生するものでもない(会則22条2項,28 条,甲15,乙2,10)。被告県書士会の内規である役員選任規則の改正 等は同会内部の自治に任されるべきものであって,役員選任規則の再改正を 求める訴えは不適法であるといわざるを得ない。

(3)よって,請求の趣旨第5項に係る原告の訴えはいずれも不適法である。 なお,原告は,被告県書士会の前記本案前の抗弁が時機に遅れた防御方法 であるとして却下を求めているが,同抗弁を主張することで訴訟の完結を遅 延させるものではないから,原告の主張は採用の限りではない。

6 まとめ

以上によれば,原告の本訴請求は,請求の趣旨第5項に係る被告県書士会に 対する訴えはいずれも不適法なものとして却下すべきであり,その余の請求は いずれも理由がないものとして棄却すべきであるから,訴訟費用の負担につき 民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。

和歌山地方裁判所田辺支部
裁判長裁判官矢田廣高
裁判官湯川克彦
裁判官三島聖子

これは正本である
平成20年3月14日
和歌山地方裁判所田辺支部
裁判所書記官 辻 新一郎